里井宏次先生の合唱講座

     合唱に求められる声とは

日程  2006年3月12日(日) 午後1時30分〜4時30分 譜読み練習12時30分〜
場所  城北市民学習センター

 今年度の3回目の日曜講座は、里井宏次先生の合唱講座。3月12日(日)に梅田の第1ビルの総合生涯学習センターで行われました。
当日は100名を越える方々で会場は埋まり、発声を軸にした実践的な練習の合唱講座が行われました。

 練習曲は「Ave Verum Corpus」(モーツァルト曲)と「Jupiter」(ホルスト曲・松下耕編曲)です。

守屋さんが譜読み練習を開始。この時点で会場の入りは6割ほど。ピアノは門さんです。 この譜読み練習中に里井先生が入ってこられ、会場の皆さんの声の特徴をつかんであられました。 今回も受付やビデオ撮影で協力してもらったバスFさん、ソプラノKさん、Kさんです。
休み時間に利用できるようホットコーヒーのコーナーもソプラノMさんが用意しています。 譜読み練習が終わり、里井先生から並びの変更がありました。半円形に左からソプラノ、テノール、バス、アルトの順となりました。 今回も進行役の副指揮者のバスYさんが日曜講座の説明と里井宏次先生を紹介しました。
里井先生の登場です。「1音節を区切って歌っている。作曲家のディクションに併せて歌うと面白いはず」と言われ、まず発声から入りました。「男声は柔らかいが女声の発声は低い」と声や歌い方の弱点を指摘されました。 「コントロールタワーはおへそより下。胸でコントロールすると声はノドに来る」「アの発語はピッチが悪いことが多い。ウで正しいポジションを取る」ということでウによる発声練習。「のどで音程を作らず響きで作る。音は上の響きで取る。上がるときは一つずつきちっとその響きを出す」 「上がるときは上から取ることと響きで取ることの2つのポイントが大切」「イの母音は詰まる」「下のスピーカーが開かないように。上のスピーカーで歌う。下あごはぶら下がるだけ。上あごを前に」と上の響きで歌うことを強調されました。
「高音ではアが大変。その前にウを入れる。ウア、ウイ、ウエ、ウオ。そして同じ所に戻ること。音はいつも前に進む。弱く沈んだ声にしない。下で響かせないこと。」「ビブラートはのどに負担をかけるからつく。体を使うこと。健康にも良い。」「ウオのオの響きが下がりやすい。ウ→オとゆっくり変化させてその変わり目に響きを覚える。」 「ドミンゴは頭でなっている。日本人は低いところで鳴るため、側鳴りになる。音を出すとき自分の声がハーモニックであると思って出すこと。バスの音が出たときテノールの音が聞こえてくるか、倍音は聞こえてくるかが楽しみ」「日本の合唱団は力任せに歌う。響きがあえばそれが大きな響きになる」 「言葉にあわせた発語が大切。一つ一つの音節を歌ったらおかしい」「子音は長めに取る。母音が長いと下がってくる」「下がる時は上がる意識で、高い所は同じポジションで歌う」「音を取りに行くとのどで取ってしまう。ハーモニーの感覚、和音のイメージで取りに行く」「音は響きで取る。上から降ってくる感じで取る」
後半はJupiter。言葉のつながりを丁寧に確認して、前半で強調された発声のポイントを応用していきます。「♪・・・胸に♪の最後の“に”は舌根の力を抜きほってやる。解放すれば声は伸びる」「高い所のUWAはBUWAと子音を軽くかませると良い」、など具体的な指示で日本語の響きを改善されていきます。そして全員立って曲を通して歌ってみます。 「必ず上のスピーカーを鳴らす。良いオペラではバスもテノールのような響きがある」とジェスチャーも合わせて指導されます。「ビブラートしている人は手を挙げて」との先生の質問に手を挙げた人はわずか。「手を挙げてない人が大変。自覚してしてない。息が流れないでのどで歌うため」「大きな声を指導者が求めないこと。響きがつぶれてしまう。デッドな部屋では響きがつかみにくい。たまには大きな部屋で練習すると良い」と我が合唱団には耳の痛いお話も。 仕上げに「Ave Verum Corpus」を歌い、質問コーナーになりました。質問する参加者の近くまで行かれては丁寧に答えていただきました。「バスはカウンターテノールになりやすい。ファルセットの響きから実音にする。ただし、ファルセットは声が疲れるので短い練習にする」「低い音を響かすには、声帯が個人で違っているので出ないものは出ない」と明確でした。
最後に司会役の副指揮者Yさんが出てきて、先生にお礼の挨拶をして、大切なポイントを早速練習に生かしていくようにまとめていました。 続いてソプラノのKさんがチラシを持ってあらわれ、ともに歌う合唱団の募集案内をしました。 今日も遠く福井からも来ていただきました。その方々が来年の11月に行われる「日本のうたごえ祭典in福井」の宣伝をされました。そして充実した講座は終わりとなりました。

 今回は発声を中心に具体的な方法をいろいろと教えていただきました。我が団の発声上の問題について、すぐ役に立ついろいろな方法を教えていただき大変参考になりました。明日からの練習にすぐに役立てないともったいない講座内容でした。
 この他にも里井先生はたくさんお話しをされたのですが、このアルバムでは断片的な紹介しかできなかったことをお詫びします。なお、今回のビデオもあります。ご希望の方はご連絡下さい。

 これで2005年度の日曜講座は全て終了しました。講師を引き受けていただいた先生、また講座に参加された皆さん、どうもありがとうございました。2006年度の講座もまたよろしくお願いいたします。
【テノール S】