飯沼京子先生の発声講座

     発声講座

日程  2010年9月20日(月・祝) 午後1時半〜4時半
場所  大阪音楽センター会館2Fホール

 今年の発声講座は飯沼京子先生をお迎えして行われました。昨年は伊藤先生に2回も来ていただいて発声講座をもちましたが、今年も女性の発声をもっと輝かせたいという関西合唱団の課題に取り組んでくださる企画となりました。そのため日曜講座のような募集はしませんでした。
 場所は改修が終わったきれいな大阪音楽センター会館の2階、時間帯は午後1時半〜4時半で、合唱団はこの後に通常の練習がありました。

副指揮者のバス2のYさんが飯沼先生を紹介します。飯沼先生は関東での演奏会からお帰りになるお忙しい中、途中で音楽センターに寄っていただきました。我が合唱団の課題である「ゆれる、遅い、下がる」の三悪をどう改善してゆくか、ヒントを頂きたいのです。 この問題は全て息の使い方にあると先生はおっしゃいます。年のせいではないし、男声にもある問題で、コンプレックスは必要ないが余裕をこいている場合ではないのだそうです。鍵は腹式呼吸、この方が「エエ声が出せ、コントロールしやすい」から生活の大半で使ってくせにしてしまえばよいのだそうです。 腹式呼吸は横隔膜でコントロールします。それを支える腹筋は3段重ね。この膜は見えないので「吸うと下がる、吐くと戻る」と想像します。何が何でも腹式呼吸をマスターする。年のせいと思わないで年なりにいけている方に行くよう鍛えることが大事だそうです。
先生がよく行われる発声練習ではウォーミングアップ(頑張らない)とトレーニング(しっかり努力する)を混同しないことだそうです。ウォーミングアップでは3つの課題があるそうです。
 その1「腹筋の持続」では、下から始め、響きを前に出すため「ナエイオウ」と発声して「エイ」が狭くなることを理解して舌の位置を客観的につかむこと。
その2は「アタック」。女声は持続よりアタックで劣るそうです。「ドミソドミドソミド」のスケールで腹筋を使って出た声に責任を持ちコントロールすると意志の宿った声になる。音楽的になる。自分の持っている問題点をよく知り、どう鍛えるか考える。そして周囲に気を配ればパートの声はそろってきます。 その3は「息を軽く出す練習」。「ドレミファソラシドレドレドレドドレドシラソファミレド」と息を軽く出す。息を一杯出し過ぎて重くならないように。息のスピードを上げて量を減らす。しかし、小さな声ではない。高い所は息を速く送ると良い。
続いて課題曲として、今練習中の「星に願いを」を歌います。特に最初の音程の跳躍をどうするのか。低い音は聞こえるのに時間がかかる、かなり早めに息を出すこと、スピードも大切。このスピードだけで20歳は若く聞こえる。フレーズの終わりの音はお隣の声も気にして歌う。合唱の弱点は個人が考えて歌わなくなる所にある。 ハミングは口を開ける時よりも腹筋を強くしてラインを出す。手を抜いてはだめ。歌が難しいのは自分で客観的にわからないため。顔と声と背中は一生自分ではわからない。どう出したらよいかノデータを自分なりに蓄えていくしかない。個人レッスンも必要です。
 最後に時間は押してしまいましたが、参加者からの質問に丁寧に答えていただきました。
講座を終わって1階にて先生と副指揮者のYさん、ボイストレーナーのバス1のTさんとテノール1のSにて懇談が行われ、合唱の声作りについていろいろなご苦労やアドバイスを頂きました。先生はこの後、自宅には帰らず次の会場へと向かわれました。

 ご多忙中にもかかわらず長い時間を割いて発声についてのポイントを教えていただきました。おもしろかったご指摘はいろいろな合唱団で指揮をされていて、「合唱をする人は楽譜に注意事項を書くが、次の練習で同じ注意を受けて初めて書いてあることを思い出す」事の繰り返しなのだそうです。今回の講座の内容もいかに次の練習に生かしていくか、個人個人や合唱団の取り組む姿勢にかかっていると言うことですね。【テノール1 S】