定期演奏会の紹介

第29回定期音楽会の紹介

 5月の音楽会

演奏日時 1974年5月22日(水)・23日(木)・24日(金)午後6時30分開演
演奏会場 森之宮青少年会館文化ホール
指   揮 守屋博之/本並美徳
ピ ア ノ 根来博子
吉田親家(アコーディオン)
特別出演 日下部吉彦(大阪府合唱連盟理事長 指揮)/
油井昌行(関西歌劇団 テノール独唱)/勝部三千代(ピアノ)/
歌舞団「若駒」
出   演 関西合唱団/関西合唱団研究生/関西合唱団うたごえ教室/
関西合唱団アコーディオン班/ログメイツ

演 奏 曲  1部 This land is your land.                (訳詩:いしきけんぞう 曲:Woody Gulhrie)
シャンテ                        (曲:ルベール・ジコー)
見上げてごらん夜の星を               (詩:永六輔 曲:いずみたく)
イエスタディー ワンスモアー            (曲:カーペンターズ)
シング                          (訳詩:関西合唱団/いしきけんぞう 曲:Joe Roposo)

合唱構成劇「青春」
 青春
 心もよう
 ハノイの恋人
 太陽がくれた
 夕陽に向って
 ふるさとへ帰ろう
 紙飛行機
 みんなは夜明けを待っている
 すばらしい明日のために

グラナダ                        (曲:アグスティン・ララ)
春のワルツ                      (詩: 諸園涼子 曲:アルディーティ)
合唱のための「コンポジション」?より?・?章    (曲:間宮 芳生)
「水のいのち」より第5章”海よ”          (詩:高野喜久雄 曲:高田三郎)

        2部 あなたがつくるプログラム
 −百数十曲の中から当日リクエスト−

【油井昌行(テノール独唱)/勝部三千代(ピアノ)】
 カタリ                          (イタリア民謡)
 女心の歌                        (歌劇「リゴレット」より)

聞け                           (ロシア革命歌)
リャーナ                          (モルダビア民謡)
春の使者                        (詩:和田静江 曲:木下そんき)
輝く道                           (詩:アクチーリー 曲:ドウナエフスキー 訳詩:中央合唱団)
世界をつなげ花の輪に                (詩:篠崎正 曲:箕作秋吉)

フィナーレ
自由なる大地へ                    (詩:坂本秀樹 曲:位田勉)

あなたがつくる
     プログラム
(下記の表の中から、会場のお客様に開演中にリクエストをいただく。
A・B・C・E・F・G・Hの各グループから1曲、Dから2曲で
ABC→の順で合計9曲演奏)
A.混声合唱
1、橋をつくったのはこの俺だ
2、グァンタナメラ
3、シュワジベチカ
4、収穫のうた
5、トロイカ
6、カチューシャ
7、ともしび
8、船のり
9、心さわぐ青春のうた
10、平壌は心のふるさと
11、とべよ鳩よ
12、夜明けのうた

B.女声合唱
1、チリビリビン
2、いってしまった小鳥
3、カッコウ
4、リラの花
5、ウラルのぐみの木
6、春のうた
7、花
8、花の街
9、夏の思い出
10、里の秋
11、夏は来ぬ
12、ゆりかご

C.混声合唱
1、オブラディオブラダ
2、ドナドナ
3、イエスタディー
4、トップ・オブ・ザ・ワールド
5、愛に生き平和に生きる
6、太陽がのぼるまで
7、出発のうた
8、戦争を知らない子供たち
9、一人の手
10、竹田の子守唄
11、紙風船
12、コンドルはとんでゆく
13、いずみたくメドレーA
    (なかま、ともだち、夜明けのうた、希望)
14、いずみたくメドレーB
    (天使のスキャット、いい湯だな、
         手のひらを太陽に、幸せつくろう)

D.みんなでうたおう
1、大きなうた
2、エーメン
3、ごげよマイケル
4、森の熊さん
5、おさななじみ
6、四季のうた
7、故郷へ帰ろう
8、翼を下さい
9、友よ(いずみたく)
10、ロックマイ・ソール
11、学生街のキッサ店
12、若者たち
13、山賊のうた
14、りんご娘
15、二十歳
16、アルプス一万尺
17、広場とぼくらと青空と
18、君のひとみが
19、雪がふる
20、夕べのうたごえ
21、まち
22、どこまでも幸せ求めて
23、We shall ouercome.
24、あなた
25、てんとう虫のサンバ
26、花のメルヘン
27、赤い風船
28、遠くへ行きたい
29、戦争は知らない
30、手のひらを太陽に
31、遠い世界に

E.郷土のうたとおどり
1、傘おどり
2、ぶちあわせ太鼓
3、地頭太鼓
4、庄原の田楽
5、そうらん節
6、花笠おどり

F.混声合唱
1、鉄路
2、リンゴの花咲く頃
3、アムール河の波
4、泉のほとり
5、春の行進曲
6、スワニー
7、村の娘
8、自由ベトナム行進曲
9、どじょっ子ふなっ子
10、おい仲間達
11、くわ畑
12、五月のうた
13、祖国の山河に
14、青年行進曲

G.女声合唱
1、大須っ子
2、三池の主婦の子守唄

ごあいさつ

プログラムより
 みなさまお元気でご活躍のことと存じます。本日は、私達の「5月の音楽会」にようこそおいで下さいました。私達は、この音楽会を催すにあたって、つねに平和としあわせな生活を願う人々とともにうたいつづけてきた誇りをさらに広げ、内容も斬新で質の高いもの、そしてどなたにでもよろこんでいただける多彩な内容にしようと練習に励んでまいりました。現在、国民生活を脅かす事態が増々深刻化する中で、人々を励ましその心をうるおす健康で人間性のあふれる音楽は切実に求められています。この音楽会が、現代の革新の大きな前進といううねりの中で、さらに広範な方々に音楽を通じて人間としてのほこりや働くもののよろこびを知っていただくことに少しでも役立てばと考えております。今日この「5月の音楽会」を聞いていただいた感想なり、御意見を是非お寄せ下さい。私達は、“うたごえ”の輪がさらに広がり、大阪の辺々に“うたごえ”がこだまするよう、ますます頑張っていきたいと思います。どうか最後までごゆっくりお聞き下さい。
【関西合唱団】


 関西合唱団はすばらしい合唱団です。
 関西合唱団とのおつき合いは、まだ三年にも充たない短かい期間ですが、そのハートの熱さに、私はすっかり魅了されてしまいました。今回、その演奏会の舞台で、客演指揮者として指揮台に立てることは、とってもうれしいことです。何度かの練習を一緒して、その反応の鋭さにも感心しました。もちろん、技術的な面などで、今後の勉強の必要な点はないではありませんが、なによりも、音楽に食いついてゆく気迫のあることが強みです。有能な常任指揮者守屋博之先生に代って、俄かつき合いの私が、その底力をどれだけ引きだせるかは疑問ですが、ともかく精一杯やりぬくのみです。ご声援下さい。
【日下部吉彦】


 みなさんのうたごえ運動がとりくんだ歌劇「沖縄」でお世話に成り早いもので四年ぐらいに成ります。
 最近は、歌声運動も人集めに大変苦労しているおりから、これだけの人数が集まるということは、やはり立派な合唱団であるからだと思います。東京のコンクールでもいつもよい成績を上げておられるとの事、指導者はじめ皆さんの団結の力、音楽性の豊かさ等を感じ、そのような人達の音楽会に出演出来ることは私の最も喜びとするところです。これからも一層頑張ってよりよい合唱団になることを祈っています。
【油井昌行】

メッセージ

プログラムより
新しい旅立ちに向って
 昨年の春のことですが、関西合唱団の定演を聞きにわざわざ関東から出かけていった青年が、こんなことを話してくれました。
 「関西合唱団の演秦会って、現代を生きているという喜びを感じさせてくれて、何かピタッとくるんだ」「高い金使って聞きに行っても少しも痛く思わないんだ」 この青年の言うことは、関西合唱団のイメージを見事に言い現わしているなーと思いました。私が特に感じている点をつけたさせてもらうならば、大変サービスのいい合唱団だということです。サービスがいいということは決して悪い意味ではありません。東京でもクラシック・ポピュラー・フォーク・歌謡曲等様々な演秦会が数多く開かれますが、この数多い演秦会でも、サービスのよい演奏会というのは、少ないものだと思っています。うたごえ運動の中では、サービスのことを広範な人々の多様な音楽要求に答えていくというふうに言われていますが、このことは、うたごえだけでなく、日本の音楽文化全体か問われていることなのではないでしょうか。だから関西合唱団の演奏会の一回一回が、楽しみでもあり、期待に胸がふくらむのです。
 今回は、5月の音楽会と題して開かれますが、この音楽会のプログラムを見ても、又新しいものが、付け加わっているということを感じてうれしくなります。
 うたごえ連動が、今新しい旅立ちに向う時、関西合唱団の5月の音楽会ですばらしいうたごえが響くことは、このうたごえの旅立ちに一きわすばらしい未来を開いてくれるでしょう。
 そして、このうたごえの広がりが、多くの人々に幸せと平和を求める心を呼び起し、きたる参議院選挙でも、国政を革新するさわやかな風となるでしょう。おめでとうございます。
【日本のうたごえ全国協議会 藤本洋】


力強い勇気と励ましを
 関西合唱団「5月の音楽会」おめでとうございます。インフレ政策反対、賃金を上げろ、公害反村………。七四年国民春闘に決集した労働者を始めとする国民各階層の怒りと闘いのエネルギーは、今や国政革新の声となってさらに大きく広がってきています。こうした中で開かれる関西合唱団5月の音楽会は、きっと多くの人々に力強い勇気と励ましを与えることでしよう。今年、うたごえ連動は、大きく「変身」し、いい音楽を豊かにうたい上げ普及していく新しい方針が決められました。中心合唱団として関西合唱団がここ数年来追求してきた「音楽内容」が、この音楽会でさらに豊かに実を結び、ひたむきに努力をつづけている大阪のうたごえの仲間たちに大きな確信とはげましとなるよう心から期待しています。共にがんばリましょう。
【大阪のうたごえ協議会副議長 植田保】


広い視野を
 ある日、わたしは音楽大学の卒業生とはなしをしていました。どうして話題がそうなったのか忘れましたが、
 「べートーベンの交響曲を聞いたことがありますか?」
と聞きました。わたしにすればべートーベンの交響曲全九曲は聞いてなくても「運命」とか「第九」とかは聞いているだろうと思っていました。
ところが、その人は
 「全然聞いたことがない」
と答えました。そこでわたしは重ねて聞きました。
「レコードでならあるでしょう!」ところが、その人はレコードでもないというのです。わたしは、すっかり、おどろきました。音楽を志して音楽大学に入り卒業した人がべートーベンの交響曲を聞いたことがないなんて、ありうることだろうか!と。
 きっとその人は例外なのだろうと考えました。けれど、念のため、その後機会あるごとに音楽学生にその質問をくりかえしてみました。ところが悲しいことに、わたしの想像とは反対に、それがしごく普遍的な傾向であることがわかってきました。
 現在の音楽教育にも大きな問題がありそうですが、音楽学生自身にもかなり根深い問題があると思いました。音楽を志すものが、べートーベンの交響曲に関心を持たないということは異常です。
 いや、わたしは世の中が一般に、こうした社会の基盤になる教養(いやなことばですが)についてアンバランスなのだと思うのです。音楽だけではありません。文学にしてもトルストイとかドストエフスキーとかバルザックとか、シェクスピアとか、漱石とか芥川龍之介とか、それらの作品の一つも読んだことがないという人があまりにも多いのはどうしてでしょう。
 現代は便利な世の中で、わたしたちがその気になれば、べートーベンの交響曲はもちろん、いろんな文学書にしても鑑賞することはたやすいことです。
 うたごえの人たちも、歌うことが好きで、合唱をしているのだと思います。しかし「がんばろう」は知っているけれど、「第九」の合唱は知らない。いや「関心がない」という人が出てくると、もうこれは困ったことです。荒木栄もすぐれた作品を作っていますが、その他にたくさんの合唱曲があります。合唱をする以上、当然通過しているはずの曲も相当あります。
 ところが、そういう音楽の体系を無視して「がんばろう」しか知らない、歌わない、関心をもたない。そのようなアンバランスな形でうたごえ運動が発展するとは思えません。曲についてだけではありません。唱法についても、音楽の演奏評価についても、いろいろなものがあるということも知るべきです。馬車馬のような狭い視野では発展しません。
 広い視野を求めて動き出したうたごえ運動に心から賛意を表します。世界は、宇宙は広大です。行け!若もの。発展目指して!
【音楽評論家 柴田仁】

合唱構成劇「青春」について

プログラムより
原作 松本順治
脚本 森本景文
出演 関西合唱団うたごえ教室/研究生
演出 森本景文
照明 富田悦史
舞台 亀井泰元

あいさつ
 関西合唱団の研究生・うたごえ教室の若い人達とともにとりくんでいる合唱構成「青春」の仕事は楽しい。
 演出者としての私の要求が、乾いた砂地に水が滲みこむように血肉化されることーひとりの人の創造の苦しみが、その他の多くの人の苦しみとして受けとってもらえる連帯感ーそんな雰圏気の中で、独りぼっちの3人の青年が「うたごえ」の素晴らしさに触れる姿を自然にそして、生き生きと描きだしたい。
【森本景文】