定期演奏会の紹介

第45回定期音楽会の紹介

 創立35周年記念
  平和をうたいつづけて35年・・・ひとりひとりのおもいをあつめて。

演奏日時 1983年11月25日(金)午後7時開演
演奏会場 ザ・シンフォニーホール
指   揮 守屋博之/本並美徳/細川幸治
ピ ア ノ 門万沙子
吉田親家(アコーディオン)
出   演 関西合唱団/「そして、一輪の花のほかは…」をうたう合唱団/ログメイツ
山本禎二(バリトン)
ス タ ッ フ 一杉忠(舞台監督)

演 奏 曲  1部 プロローグ
とべよ鳩よ                    (詩:M.マトゥソフスキー 曲:I.ドナエフスキー)

すばらしい明日のために            (詩:門倉訣 曲:熊谷賢一)
たんぽぽ                     (詩:門倉訣 曲:堀越浄 編曲:西良三郎)
おれたちの詩 Part1               (詩・曲:青山義久)
芦別の雪の中を                 (詩:門倉訣 曲:林学)
星よお前は                    (詩・曲:荒木栄 編曲:外山雌三)
ひとつ名前の兄弟のうた            (詩・曲:林光)
組曲「ひかりのバラード」より
「警鐘」                       (詩:奥田史郎 曲:松永勇次)

        2部 鉄路                        (詩:S.アルィモフ 曲:I.ドナエフスキー)
アムール河の波                 (詩:K.ワシリエフ,S.ポポフ 曲:M.キュッス 編曲:V.サカロフ)
ヴオルガのうた                 (詩:オストローフ 曲:モクロウソフ)

のみのうた                    (詩:ゲーテ 曲:ムソルグスキー)

ロシアの広野                   (詩:I.ゴッフ 曲:Ya.フレンケリ 編曲:木下そんき)
聞け                         (ロシア民謡 編曲:F.カズロフ)

平和のうた                     (詩:E.ドルマトフスキー 曲:D.ショスタコービチ)
収穫のうた                     (詩:イサコフスキー 曲:I.ドナエフスキー)

        3部 混声合唱のための組曲
「そして、一輪の花のほかは…」
  (曲:外山雄三)
−あたらしい憲法のはなし−

チラシ(表)

ごあいさつ

プログラムより
 皆さま、本日はお忙しい中ようこそおいで下さいました。
創立35周年を記念する今日の音楽会は、単にこの一年の集約としてだけでなく、様々な団体・専門家の皆さんとの協力を広げ、府民の切実な思いを歌い続けてきた35年の歩みの集大成であり、来年11月大阪で初めて開催する「日本のうたごえ祭典」に向っての出発点ともなるものです。
 平和な社会、よりよい暮しを求める国昂的なたたかいが激しく高まっている今、私達の歌ごえが、生きることの喜び、人間としての誇りを讃える力となって響きわたるよう、心をこめて歌いあげたいと思います。
 どうか最後までごゆっくりお聞き下さい。
1983年11月25日 【関西合唱団団長 西恒人】

メッセージ

プログラムより
 命と生活の尊さ、働く人々の願いと喜びを音楽の源泉としながら歌い続けてきた関西合唱団の35年。ほんとうに御苦労さま。皆さんの歌ごえを聞いたであろう何十万・何百万の人々。その仲間にいまも息づく鼓動。それは「うたごえは平和の力」というものでしょう。
 皆さんは中央合唱団・名古屋青年合唱団と共に運動の機関車でした。運動のトップに立つものの苦しみを誇りにかえて頑張り通してきました。すぐれた演奏と普及力の中でこそ創られた数々の創作曲。とりわけ「光れ中学生」につづく「いま生きる」の制作・上演活動のスケールの大きさに感嘆しています。
 外山雄三先生の「そして一輪の花のほかは…」を頂点とした今夜の演奏会、それは35年積みあげてきた演奏力を一気に開花するものとなるでしょう。全国の仲間は心から成功を期待しています。
【日本のうたごえ全国協議会 幹事長 杉浦敏郎】
 関西合唱団創立35周年記念、第45回定期音楽会おめでとう!それもこのすばらしいホールで開かれたことを心からお喜び申し上げます。どんなことも、永くやりぬくということは大変なことです。恐らく、うたごえ運動もなかなか困難なことがいっぱいあると思うのです。ただ、機嫌よく歌っておればいいというものではないでしょう。それを耐えぬいてこられたことに敬意を表します。
 特に、いま日本はファッショ化しようとしているさなかです。田中角栄の居直りようを見ていても、これは大変な時代になったと思います。若ものの力で、ファシズムをはねのけていかねばと思います。音楽も大きな力です。
 ことしは外山雄三さんが「そして、一輪の花のほかは…」という新しい曲をつくって下さったとか!歌う力で、団結して、いまの時代をよくしていこうではありませんか!さらに、永く、がんばって下さい!
【音楽評論家 柴田仁】

メッセージ

プログラムより
「そして、一輪の花のほかは…」 (外山雄三)
−あたらしい憲法のはなし−

 1946年(昭和21年)6月28日、総理大臣吉田茂の発言「戦争抛棄に関する憲法草案の条項に於きまして、国家正当防衛権に依る戦争は正当なりとせられるようであるが、私は斯くの如きことを認むることが有害であると思うのであります。近年の戦争は多くは国家防衛権の名に於で行われたることは顕著なる事実であります。故に正当防衛権を認むることが偶々戦争を誘発する所以であると思うのであります」
 1946年(昭和21年)8月27日、第90帝国議会で国務大臣幣原喜重郎の発言「実際この改正案の第九条は戦争の抛棄を宣言し、我が国が全世界中最も徹底的な平和運動の先頭に立って指導的地位を占むることを示すものであります。今日の時勢に尚国際関係を律する一つの原則として、或範囲内の武力制裁を合理化、合法化せむとするが妃きは、過去に於ける幾多の失敗を繰返す所以でありまして、最早我が国の学ぶべきことではありませぬ。文明と戦争とは結局両立し得ないものであります。文明が速かに戦争を全滅しなければ、戦争が先ず文明を全滅することになるでありましょう。私は斯様な信念を持って此の憲法改正案の起草の議に興ったのであります」
 このふたつの明快で格調高い発言に続いて1947年、文部省が中学一年生のために編集した「あたらしい憲法のはなし」という、すばらしい小冊子がある。その一部を今回作曲することが出来たのは大変うれしい。この一連のものを良く眺めてみると「憲法押しつけ論」がいかに無理なものかがはっきりわかるし、かつて森有正氏と大江健三郎氏の対談の中に「(この憲法を誰かが押しつけたのだとすれば)押しつけたのは庶民である」という意味の発言があったことも思い出される。いままでと同様に守屋博之氏と関西合唱団の叱咤激励によってこの作品は生れた。第一章では数年前に犬塚昭夫氏からお預かりした貴重な作品をようやく作曲したこと、第二章ではユニークな絵本を皆さまに御紹介できること、第三章では前述の「あたらしい憲法のはなし」の一部分に添えて、日頃愛読している茨木のり子、石垣りん、峠三吉の作品をえらんだことを記録させて頂く。再作「よびかけ」同様、それぞれの作品が必ずしも全部作曲されているわけではない。(省略部分を含む)ことも、念のために申しそえる。
【外山雄三】