定期演奏会の紹介

第49回定期音楽会の紹介

 さわやかな5月の風にのせて、
 平和への熱い思いと青春をうたう。

     5月の音楽会

演奏日時 1986年5月22日(木)・23日(金)午後6時30分開演
演奏会場 森ノ宮ピロティホール
指   揮 守屋博之/本並美徳/細川幸治/山本恵造
ピ ア ノ 門万沙子/山下和子
吉田親家(アコーディオン)/三好良(ドラムス)/上里明(ベース)/
木下晃・中小路清行(トランペット)
出   演 関西合唱団/関西合唱団第70期研究生/関西合唱団アコーディオン班/
関西合唱団民謡班「わだち」/「今日から明日へ」合唱団
ス タ ッ フ 一杉忠(舞台監督)

演 奏 曲  1部 【郷土のうたと踊り】
飾出ばやし(下山ばやし、秋田甚句、バカばやし)

私の牧場                (メキシコ民謡)
シェリトリンド              (メキシコ民謡)
ラ・クカラチャ              (メキシコ民謡)
メキシカンハットダンス        (メキシコ民謡)
ラ・ゴロンドリーナ           (メキシコ民謡)

【アコーディオン合奏】
エル・クンバンチェロ          (曲:R.ヘルナンデス)
グラナダ                 (曲:A.ララ)

【70期研究生】
折鶴                   (詩・曲:梅原司平 編曲:本並美徳)
ぼくら青年                (詩:エリ・オシャーニン 曲:エヌ・トウリコフ 訳詩:関鑑子)

【シングアウト】
We are the world           (詩・曲:M.ジャクソン・L.リッチー 訳詩:山本忠生 編曲:松永勇次)

        2部 兵隊が戦争に行くとき        (詩・曲:ルマルク 訳詩:風間道太郎 編曲:トゥリィシュ)
ぼくら二人               (詩・曲:ミキス・テオドラキス 訳詩:中央合唱団 編曲:戸田義昭)
シモン・ボリバル           (詩・曲:R.レンナ・.ルコントレーラス 訳詩:今井真)
勇敢なケイシージョー        (訳詩:木下そんき 曲:ジョー・ヘンリー 編曲:オット・ヒミゲル)
乙女のうた               (訳詩:崔在鶴 編曲:金裁天)
鶴                    (詩:R.ガムザトフ 訳詩:坂山やすこ 曲:Ya.ワレンケリ 編曲I.リッヴェンコ)

【レガーテ】
あなたに                (詩:小森香子 曲:原田義雄)
ワルツはすてき            (詩:峯陽 曲:グルーバー 編曲:菊川廸夫)

【国鉄労働者といっしょに】
レールの音がきこえますか     (詩:熊谷勇二 曲:たかだりゅうじ)
レールみがき             (詩:藤田敏雄 曲:いずみたく)
俺たちのシルクロード        (詩:荒井良夫 曲:たかだりゅうじ)

        3部 合唱組曲「今日から明日へ」  (詩:かたおかしろう・瀬野とし 曲:中村茂隆)
 1.序章 朝の子どもたちに
 2.ぼくらほんまは
 3.あのお方
 4.なんでやのん
 5.男も女もないっていうけど−男女雇用機会均等法実施−

 非核の町から             (詩:秋山依子 曲:本並美徳)

チラシ(表)

ごあいさつ

プログラムより
 本日はようこそおいで下さいました。
 日頃私達の運動に暖かい御支援を頂き、ここに厚くお礼申しあげます。
 いま全国のうたごえ運動は、2年後の創立40周年に向って運動の飛躍をめざした活動をすすめています。
 歴史的な成功をおさめだ84年日本のうたごえ祭典(大阪城ホール)以後の1年半を見ましても、いたるとこうで「うたごえ」が求められ、うたう輪が広がっています。しかし核戦争の危機の増大、「戦後政治の総決算」路線のもとでの生活や民主々義・思想・文化の攻撃が激しく進行する中で、「平和で健康な音楽を全国民のものにする」という運動の目的は、一層切実さを加えてきています。
 今日の音楽会は、こうした運動を切り開く新たな一歩にしようと
取組んでまいりました。「何をどう歌うのか」がますます鋭く問われている今、幸いにも中村茂隆先生、かたおかしろう、瀬野とし両氏の絶大なる御協力によって、今日の音楽会において合唱組曲「今日から明日へ」を上演する運びとなりました。日本の将来に大きな意味をもつ参議院選挙を目前にし、平和で人間らしく生きる社会であってほしいという最も入間的な思いにあふれたこの作品を、私達は心をこめて歌いあげたいと思います。
 どうか最後までごゆっくり聴いて下さり、音楽会の御意見・御感想を寄せて下さるよう、又今後の変らぬ御支援を心よりお願い申しあげます。
1986年5月22日 【関西合唱団団長 西恒人】

メッセージ

プログラムより
 今まで関西合唱団とともに「松下王国の神話」「光れ中学生」「おーい春」などを創ってきました。今回は「今日から明日へ」というテーマで、現在の日本が抱えている問題をいっしょに考えてみようということになったわけですが、大きな問題を抱えこみすぎて、それぞれが抽象的になってしまわないように、かたおかさん、瀬野さん、守屋さん、西さん、そして関西合唱団の皆さんといっしょに詩づくりの段階から参加して、私自身の思いも十分詩の中にもりこんでもらうよう努力しました。作曲に当っては暗く重いテーマを音楽もいっしょになって暗く重くなってしまわないように、優しい肌ざわりの中で、リズムも軽やかにスウィングさせながら、しかも問題の核心に鋭く迫ってゆく努力をしたつもりです。愉しく聴いていただく中で、ギクリと立ち止まって考えていただければと思っています。
 関西合唱団も次回は第50回定期とか、ますますの御発展をお祈り致します。
【神戸大学教授・作曲家 中村茂隆】


 久しぶりに関西合唱団の演奏会を、中村先生や瀬野さんとご一緒にお手伝いできて、たいへん喜んでおります。
 わずか10日間に20数人の子どもたちがビルから飛び降りるという異常な世の中です。
 世の中全体が矛盾の渦の中で、うめき声をあげているような「今日」です。
 その今日に、安易には輝く「明日」を語れないし、歌いあげられません。
 こんどの組曲を創る中で、中村、瀬野両氏と話しあった出発点はそのことでした。
 国民の深部に燃えさかっている要求を歌にするとき、人々の声やつぶやきを、自分らなりにすっきりと描かないで、むしろ矛盾に満ちたままを掘りおこし、それを音楽の力で、真実を見ぬくものにまで高めてみたい、それが共同劇作の一致点でした。
 そういう作業で「明日」を表現できるならと、一生けんめいやってみました。
 演奏会の成功を心から祈っています。
【劇作家 かたおかしろう】


 生命輝く明日へ
 久しぶりに関西合唱団の歌づくりに参加させていただきました。
詩はかたおか先生と分担し、中村先生、守屋さんはじめ合唱団の方方の意見を聞き、教師や婦人労働者など現場の方の声を聞いて書きました。
 子どものいじめ、婦人労働者いじめ、核戦争の危機など、人間の生命が大切にされていない「今日」の現実に心痛みます。
 しかし、子どもたちはエネルギーをひめ、人びともまた「明日」へ歩んでいます。私が事務局を担当している「核兵器をなくす堺婦人の集い」で先頃実施したアンケートでは、「貴女は子供達の宋来のために平和な世の中をひきつぐ責任を感じますか」との問に対し、1,114人のうち87.20%の婦人が「感じる」と答えていて心強く思いました。
 「生命輝く明日へ」−中村先生の曲と合唱団の方々の歌声を通じて、その思いがひろがることを願っています。
【詩人 瀬野とし】


 日本のうたごえ運動の先頭に立って精力的な活動を続けている関西合唱団の音楽会は、いつも「今年はどんな歌を届けてくれるのか」、という興味と期侍を抱かせてくれます。
 それは歌を通じてというか、歌にこめてというか、今を生きる人人の願いや心情を表現するために、真しにかく闘している様が、演奏を通じて生きいきと伝わってくるからだと思います。
 今年の音楽会には、詩人・作曲家との共同で、合唱組曲「今日から明日へ」の新作が発表されるとのこと。こうした旺盛な創造活動は、全国の仲間の注視するところです。
 今日の成果をさらに豊かに花咲かせ、’86年日本のうたごえ祭典(愛知開催)に実らせて下さいますよう、心より期待しています。
 うたごえは平和の力
 いのち輝く平和な世界を!
【日本のうたごえ全国協議会 幹事長 浜島康弘】


 第49回定期演奏会おめでとうございます。この10年間、演奏力のみならずその企画力からみても、全国のトップを走り続けている関西合唱団の活動に大きな敬意と信頼を寄せています。
 国鉄、医療、教育などなど、さまざまな問題にとりまかれている私たちのくらしの中で、事実を知れば知るほどに“各分野を越えた一人ひとりの心をつなぎあう文化”が必要とされていると切実に思います。
 今回の演奏会が音楽の楽しみとともに、そんな意味でも、また新しい“衝撃”となってくれるにちがいないと心から期侍しています。
【作曲家 木下そんき】