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第63回定期音楽会の紹介 | |
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きこえますか 時代の鼓動が・・・ | |
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演奏日時 | 1998年10月20日(火)午後7時開演 |
演奏会場 | ザ・シンフォニーホール |
指 揮 | 外山雄三(特別出演)/守屋博之/山本恵造 |
ピ ア ノ | 門万沙子/土肥永津子/山下和子 |
出 演 | 関西合唱団/外山雄三作品を歌う合唱団/ 関西合唱団OB合唱団/レガーテ |
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演 奏 曲 1部 | おくり もの (詩:石黒真知子 曲:林学 編曲:戸島美喜夫) いとし子よ (詩:小森香子 曲:原田義雄 編曲:青山義久) わが大地の歌 (詩:笠木透 曲:田口正和 編曲:をきはるお) 聞こえる (詩:岩間芳樹 曲:新実徳英) 【関西合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】 死んだ男の残したものは (詩:谷川俊太郎 作曲:武満徹 編曲:赤堀文雄) 自転車に乗って(レガーテ) (詩・曲:横井久美子 編曲:本並美徳) 【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)】 トロイカ (ロシヤ民謡 訳詩:小野光子 編曲:中山英雄) ああ夜よ (ロシヤ民謡 訳詩・編曲:小野光子) ああ野に道は多い (ロシヤ民謡 訳詩:小野光子 編曲:A.V.アレグサンドロフ) 【関西合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】 うたごえよ明日のために (詩:片羽登呂平 作曲:林光) おれたちの胸の火は (詩:森田八重子 曲:荒木栄 編曲:関忠亮) 祖国の山河に (詩:紺谷邦子 曲:芥川也寸志) 【関西合唱団/関西合唱団OB合唱団/山本恵造(指揮)/土肥永津子(ピアノ)】 |
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2部 | 子どもたちの詩による「泣くものか」 (曲:外山雄三) 1.かあちゃん (詩:佐藤明代) 2.母の日 (詩:森川泰文) 3.川 (詩:ワタナベタカユキ) 4.おかあさんのこと (詩:石崎正) 5.ぼくのしょうらい (詩:松本弘二) 6.夕日 (詩:木村勝博) 7.宇宙旅行 (詩:戸井田茂) 【関西合唱団/外山雄三作品を歌う合唱団/守屋博之(指揮)】 関西合唱団五十周年記念新作「あなたを知らない」 (曲:外山雄三) テキストは窪島誠一郎「あなたを知らない」・石垣りん「弔詞」・井上靖「友」による 日本のうたごえ五十周年記念作品「花三題」 (詩:谷川俊太郎) 花三題 (曲:池辺晋一郎/林光/外山雄三) 平和 (曲:池辺晋一郎) 三つのイメージ (曲:林光) 明日 (曲:外山雄三) みんなのうた (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久) 【関西合唱団/外山雄三作品を歌う合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】 |
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チラシ(表) | |
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ごあいさつ プログラムより |
本日は、関西合唱団第61回 5月の音楽会にようこそおいで下さいました。 今、日本中に"人間らしくありたい"という願いが広がっています。住専問題、沖縄・基地・安保問題、HIV訴訟、震災復興問題など、今までひとりひとりの中に渦巻いていたものが、堰を切って流れ出しました。そこに、たくましい想像力をもって共感する人々もどんどんふえています。そうした想像力=自分のこととして捉え、思いやる心を培うのが文化の役割なのかもしれません。わたしたちも、あふれ出たエネルギーを励まし続ける歌をうたうためにもっと豊かな想像力と創造力をもてるよう努力したいと思います。 芸術を磨き、人間を磨き、体を鍛えることを追求した宮澤賢治。彼を生んだ岩手で今年、日本のうたごえ祭典が開かれます。本日うたいます「雨ニモマケズ」がその祭典の中でもうたわれます。ぜひみなさんも歌い手としてご参加ください。 1998年には日本のうたごえ運動が、そして関西合唱団も50周年を迎えます。そして来年には50周年を記念する日本のうたごえ祭典を大阪で開催することになりました。前回1984年の大阪祭典は大阪城ホールを埋め尽くす18,000人の参加で、うたごえの歴史を切り開くものとなりました。今回もうたごえ運動が持つ魅力と音楽そのものが持つ魅力を最大限に引き出し、たくさんの人たちの願いを集めて、21世紀を展望する祭典を創っていきたいと思います。 わたしたち関西合唱団は、うたごえ50年の歴史を受け継ぎながら21世紀に向かううたごえをしっかりと響かせるため、祭典成功に向けて全力を尽くす決意です。そのステップとしての本日の音楽会を、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。 みなさまのこれまで以上のご支援、ご協力をお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。 1996年5月22日 【関西合唱団 団長 山口みゆき】 |
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曲目解説 プログラムより |
第一部 【開幕の四曲】 コンサートの開幕は、「おくりもの」です。 「ぼくの歌きいてよ」とはじまる「おくりもの」は、二曲目の「いとし子よ」と並んで、七十年代から八十年代にかけてうたごえにうまれたあたらしいスタイルのソングです。運動初期の大衆歌曲とも、七十年代前半に多かったいわゆるポップス調の歌ともちがう、ひろがりとやさしさを感じさせるこれらの歌は、うたごえ運動が広範な市民の中に広がっていく中で生まれました。この二曲は、林学と、関西合唱団員であった原田義雄の代表作であり、このようなスタイルの作品群のなかのすぐれた典型でもあります。 「わが大地の歌」は、フォーク運動から生まれましたが、そのスケールの大きさと音楽性は、アメリカのもう一つの国歌といわれる「This Land is Your Land」に匹敵するものです。美しい祖国と大地を、おおらかにうたい上げる喜びを感じさせてくれる歌です。 以上三つのソングは、すぐれた合唱編曲によって一層魅力的なものとなりました。 「聞こえる」は、NHKの合唱コンクールの課題曲にもなった合唱曲です。「天安門事件など自由を求める人々」「湾岸戦争」「人々を隔てる壁(ベルリンなど)崩壊」「森林などの自然破壊」など現代にいきる私たちが直面する課題を象徴的な手法で表現し、「私たちは何をしたらよいか」と若者に問いかける内容となっています。 【レガーテのプログラム】 レガーテは、当初関西合唱団の主婦班として出発しましたが、今は団外の沢山の女性たちも集め、うたごえ運動だけでなく合唱連盟系のコンクールでも高い評価を受けています。最近安定してきた歌唱力と表現で第一部の魅力を一層光らせてくれることと期待しています。曲は反戦歌のなかでもきわめつきの名曲、武満徹の「死んだ男の残したものは」と、レガーテの十八番「自転車に乗って」です。 【ロシア民謡の精髄】 11月に東京フォーラムで開かれる日本のうたごえ祭典には、ロシアのバリトン歌手ボリス・スタツェンコが出演しますが、彼とともにロシアの歌をうたう「日本のうたごえ祭典合唱団−ロシアのうた」には、関西合唱団も全団で参加することになっています。そのプログラムから、ロシア民謡の精髄ともいえる三曲をえらびました。 「トロイカ」は、うたごえ運動の初期から親しまれたポピュラーな民謡ですが、今回は原詩に忠実な訳でうたいます。「ああ夜よ」と「ああ野に道は多い」は、ロシアの大地を思わせるような息の長い歌で、ともにロシア民謡を代表する傑作です。 「トロイカ」と「ああ夜よ」は、長い合唱団活動のなかで勉強をつづけ、ソリストとしても力量をつけてきたわが団のヴォイストレーナー、山田克子・相摸豊の独唱つきです。 【うたごえの歴史に残る名曲】 第一部の最後は、団のOBとともに、うたごえ運動初期の歴史に残る名曲をうたいます。 林光作曲の「うたごえよ明日のために」は、「たたかいのなかに」につづいて林光がうたごえのためにつくった名曲で、五十年近くたった今もその音楽は私たちの胸にみずみずしく新鮮にひびきます。荒木栄の「おれたちの胸の火は」は、関忠亮の簡潔ですぐれた編曲によって作品の魅力はいっそう引き出されています。あの歴史的な三池闘争のなかで組合員の久保さんが会社の雇った暴力団に刺し殺されました。その血を警官がホースで洗い流しているとき、まわりの労働者の中から「同志は倒れぬ」がうたいだされ、そのなかで創られた詩です。独唱は、富樫龍一です。若い女子労働者の詩に芥川也寸志が作曲した「祖国の山河に」は、五十年代初頭のうたごえ運動を象徴するテーマソングでした。この軽快でしかも力強いリズムに乗ってうたごえは全国にひろがっていきました。 たった三曲ですが、これらはうたごえ運動の至宝ともいえる名曲であり、同時にうたごえ運動の音楽のあり方や理念、創造方法なども明確に示している典型的な作品群です。 第二部 「泣くものか」は、二十年前に外山雄三先生が関西合唱団のためにはじめて作曲してくださった組曲です(初演・1979年5月)。「泣くものか」七曲のうち「かあちゃん」「かあさんのこと」「ぼくのしょうらい」の三曲の詩は、養護施設にいる子どもたちの作文集「泣くものか」(全国社会福祉協議会・養護施設協議会編)から、「川」「母の日」「夕日」「宇宙旅行」は、「忘れ得ぬ児童詩」(日本作文の会編)のなかの詩です。はっとするような新鮮な子どもたちの発想と、ことばにぴったりと寄り添って、その言葉のイメージをいっそう豊かにふくらませた音楽は、一つひとつが輝いています。聞き手の胸にまっすぐとびこんでくる小さな宝石箱のような組曲です。 新作「あなたを知らない」は、この音楽会のために外山雄三先生が作曲して下さいました。戦没した若い画学生だった兵士達の絵画や遺品を集めた美術館「無言館」が長野県の上田市にあります。その無言館館長の窪島誠一郎の「あなたを知らない」という詩が、絵画の間に展示されています。その詩の次の四行「どうか恨まないでほしい/どうか咽かないでほしい/愚かな私たちが、あなたがあれほど私たちに告げたかった言葉に/今ようやく五十年も経ってたどりついたことを」を核とし、石垣りんの「弔詞」からのいくつかのフレーズと、井上靖の「友」を配してテキストを構成し、作曲したものです。 音楽会は「花三題」でしめくくられます。五十年間のうたごえ運動の音楽的な総決算でもある「花三題」は、日本を代表する作曲家三人が、谷川俊太郎の四つの詩に作曲したものです。とくに一曲目の「花三題」は、一つの詩に三人がリレーで作曲して一曲に仕上げたもので、三人のきわだった個性にもかかわらず、全体としては絶妙の音楽的統一がつくりだされている画期的な作品となりました。 コンサートの最後は、「みんなのうた」で会場のみなさんとお別れします。 (関西合唱団企画委員会) |
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プログラムより | 外山雄三先生のこと 今度の音楽会では、外山雄三先生が客演指揮をし、ピアノを弾き、五十周年を記念する作品を書いてくださいます。多くの専門家がうたごえに協力していますが、外山先生の存在は、関西合唱団にとって特別です。 外山先生は、1979年に今回演奏する組曲「泣くものか」を、最初に書いてから、組曲「永遠のみどり」「よびかけ」「そして一輪の花の他は」「生きる」「空に小鳥がいなくなった日」「忘れっぽい人に」などを関西合唱団のために作曲してくださいました。これらの作品を練習し演奏することが、どんなに合唱団の成長と運動を外にひろげることに役立ったかはいうまでもありません。また、外山先生のおかげで池辺晋一郎先生などすぐれた音楽家たちとのお付き合いも始まりました。 |
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