定期演奏会の紹介

第66回定期音楽会の紹介

 地球 今この星を見つめて

演奏日時 2001年11月8日(木)・9日(金)午後7時開演
演奏会場 いずみホール
指   揮 守屋博之/山本恵造
ピ ア ノ 門万沙子/土肥永津子/山下和子
ギ タ ー 押尾コータロー(特別出演)
出   演 関西合唱団/「いのちのレース」をうたう合唱団
レガーテ/
ヴォーカルアンサンブルAVANTI

演 奏 曲  1部 Time To Say Goodbye                  (詩:I.Quarntotto & F.Peterson 曲:F.Sartori 編曲:高平つぐゆき)
TSUNAMI                         (詩・曲:桑田佳祐 編曲:高橋直誠)
地上の星                          (詩・曲:中島みゆき 編曲:高平つぐゆき)
生きてきたぼくたちへ                   (詩・曲:東儀秀樹・井上鑑 編曲:高平つぐゆき)
朝露                             (詩・曲:金敏基 訳詩・編曲:小林康治)

   【関西合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

朝鮮張下村の丘の教会で                (詩:川崎洋子 曲:高平つぐゆき)
降りつむ                           (詩:永瀬清子 曲:林光)

   【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)】

ダニー・ボーイ                       (アイルランド民謡 訳詩:なかにし礼 編曲:清水脩)
兄弟姉妹みんなで                     (曲:ヨハン・シュトラウス 編曲:津川圭一)

   【AVANTI/門万沙子(ピアノ)】

歌劇「沖縄」より                      (詩・曲:歌劇沖縄台本作曲グループ)
       序章
       きよ子の朝の歌

混声合唱とピアノによる「青春メドレー」        (編曲:高平つぐゆき)
       君は生きているか/ぶらんこのうた/たんぽぽ/青春

   【関西合唱団/山本恵造(指揮)/土肥永津子(ピアノ)】

        2部 Yesterday                          (詩・曲:J.Lennon & P.M'cartny)
A Hard Day’s Naight
Hey Jude

合唱組曲「いのちのレース」 ・・・・関西合唱団委嘱作品
     (原詩:上遠恵子 補詩:押尾コータロー・関西合唱団 曲:押尾コータロー)
  1.誕生のとき
  2.森へ
  3.大きな木〜倒木更新によせて
  4.いのちの仲間

みんなのうた                       (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久)

   【関西合唱団/「いのちのレース」をうたう合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)/
                                              押尾コータロー(特別出演)】

チラシ(表)

ごあいさつ

プログラムより
 本日は、関西合唱団第66回秋の音楽会"地球 この星を見つめて"にようこそおいでくださいました。
 希望あふれる世紀にしたいと誰もが待ち望んだ21世紀。この21世紀のはじまりに、私たちは"自然と人間"をテーマにした曲を歌います。
 想像もつかないほどの昔に、偶然が重なって生まれたひとつの生命。それが形をかえながらも、連綿と受け継がれてここに在る、木や鳥や私たち。
 しかし今、その存在自体がとても危うい状況です。人間の手で森や海が壊される自然破壊。人間自身が、依然として続くリストラ・長時間労働・教育や福祉現場での弱者の切り捨てなどで、体や心がつぶされていくのも自然破壊です。そして、その最たるものが戦争です。
 9月に起きたアメリ力でのテロ事件。それへの報復として始まった武力攻撃。こんなにも生命が軽んじられていることはありません。
 植物も動物も人間も「いのちの仲間」。そのひとつひとつを尊重し、大切に思うならば、戦争も殺し合いもなくなるはずです。
 今回は上遠恵子さん、押尾コータローさんにすてきな曲を創っていただきました。粘り強くお付き合いいただいたお二人に心からお礼を申し上げるとともに、この合唱組曲「いのちのレース」を、今、たくさんの願いをこめて歌いたいと思います。
2001年11月8日 【関西合唱団 団長 山口みゆき】

上遠恵子
(かみとおけいこ)

プログラムより
はじめての作詞

 アメリカの作家であり生物学者であったレイチェル・カーソンの最後の作品に『センス・オブ・ワンダー』という短いエッセイがあります。幼い子どもと大自然のなかを探検しつつ、豊かな感性がどんなに大切か、自然がどんなに不思議さと神秘に満ちているかを詩情あふれる言葉で綴っています。関西合唱団からこの作品を合唱曲にしたいとお話があったのは2000年の夏の終わり頃でした。私は素晴らしい企画だと思いました。この本の訳者として、素敵な作詞者を探してあげるのが私のつとめであると思っておりました。ところが、それがなかなか難しく終に私が詩をかくことになってしまいました。生まれてはじめての作詞です。たいへんなプレッシャーでした。カーソンは、地球は人間だけのものではなく、あらゆる生命あるものが共に生きる星であると言っています。私は35億年という遠い昔、海に誕生した生命が輝きつつ今をそして未来へとながれて行く様子を詩にしたいと考えました。合唱団の方たちと、自然の息吹や森の香りを共有しようと兵庫県の千刈の森で合宿もしました、作曲は関西で人気の高い押尾コータロー氏に決まりました、センス・オブ・ワンダーのメッセージを押尾さんのギター、写真家森本二太郎さんのスライド、私の朗読という形で表現していた私にとっては、ほんとうに幸いなことでした。私の詩に足りない言葉や感性を押尾さんが補ってくださるからです。この合唱組曲を聞いて大自然のリズム、生命の喜び、未来への希望を感じとっていただければどんなに嬉しいことでしょう。
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押尾コータロー
(おしおこーたろー)

プログラムより
 私たち人間が生まれる前のそのまた大昔。地球は誕生しました。それはもう想像の世界。地球の誕生という大きなテーマ。果たして僕にできるだろうか?でもどうしても作りたかった。
 今回は上遠恵子さんの詞が先行で作曲しました。何回も読み直し、上遠さんのメッセージにメロディーをのせピアノ伴奏に4声(ソプラノ、アルト、テノール、バス)の編曲をしました。
 1曲目「誕生のとき」は地球の誕生の中で起こる様々なシーンを音で表現しました。
 2曲目「森へ」は今度は森の中での四季を表現しました。可愛らしくねと、上遠さんからのリクエスト。
 3曲目「大きな木・倒木更新によせて」は今まで森を見守ってきたとても大きな樹がとうとう年老いて倒れていくという悲しい歌なのですが、そこからは生命の更新が行われているのです。最初は短調で作ろうと思ったのですが、それではあまりにも救いがないので楽しいメロディーの中で寂しさを表現してみました。
 そして最後の「いのちの仲間」は最後にふさわしく雄大なバラードに仕上げました。
本番ギリギリまで曲がなかなか完成せず、関西合唱団の方々には本当にご迷惑をおかけしました。お陰でとてもいい作品ができたと思っています、上遠恵子さんの詩にこめられたレイチェル・カーソンのメッセージを、僕のメロディーにのせて皆さんの心へ届けられたらすごく嬉しいです。

チラシ(裏)より 合唱組曲「いのちのレース」について
 合唱組曲「いのちのレース」は、"環境の世紀"といわれる21世紀に、自然と人間の関係を問い直したいとの思いで制作されました。環境汚染の先駆的告発者であるレイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』のこころをもとにして、同書の訳者である上遠恵子さんの原詩、押尾コータローさんの作曲により、全4曲からなる合唱組曲が生まれました。タイトルの「いのちのレース」は、レイチェル・カーソンが『沈黙の春』の中に書いている「植物や動物は、生命の網の目の一つ」という文章からつけたものです。

上遠恵子
(かみとおけいこ)

(2001年8月現在)
 東京都出身。東京薬科大学卒業。大学研究室勤務、学会誌編集者を経て現在、レイチェル・カーソン日本協会(NPO)理事長、エッセイスト。訳書にレイチェル・カーソン『潮風の下で』(宝島社)『海辺』(平河出版)(平凡社ライブラリー)『センス・オブ・ワンダー』(新潮社)、C.スコールズ『平和へ』(岩崎書店)、J.コーネル『自然のこころにふれる旅』(柏書房)、ワズワース『レイチェル・カーソン−地球の叫びを聞いた科学者』(偕成社)などがある。
著書に『レイチェル・カーソン−その生涯』(かもがわ出版)、『生命の樹の下で−エンデとカーソン 子安美知子との対談集』(海拓社)がある。ドキュメンタリー映画『センス・オブ・ワンダー』に朗読者として出演。

押尾コータロー
(おしおこーたろー)

(2001年8月現在)
 大阪府出身。12歳からギターを始め、18歳で中川イサト氏に師事。その後、上京し岡崎倫典氏に理論も含めて幅広く勉強する。現在はソロコンサートを中心に歌の伴奏、民族楽器・クラシック・舞台劇などジャンルを超えてのセッション、CMや歌の作曲・アレンジも手がけるなど広いスタンスで活躍中。オープンチューニングやタッピングと呼ばれる奏法を駆使し、オリジナル曲だけでなく映画音楽・童謡・唱歌など馴染み深い楽曲を、独自のアレンジにより繰り広げる演奏スタイルと情感あふれるきらびやかな音色は、世代を超えて支持されている。ギターソロアルバムを2枚リリース、全国でのライブ活動のほか、FM802などで活躍中。

制作・上演賛同者

(50音順、
   2001年8月10日現在)
泉 邦彦    池坊短期大学教授、レイチェル・カーソン日本協会理事
大田 尭    東京大学名誉教授
落合 恵子   作家
早川 光俊   地球環境と大気汚染を考える全国市民会議専務理事、弁護士
原   強    レイチェル・カーソン日本協会理事
宮本 憲一   大阪市立大学名誉教授
森本 二太郎 写真家
湯浅 精二