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第67回定期音楽会の紹介 |
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いま、いのちの重み感じて・・・ |
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演奏日時 |
2002年10月2日(水)午後7時開演 |
演奏会場 |
NHK大阪ホール |
指 揮 |
守屋博之/山本恵造 |
ピ ア ノ |
門万沙子/土肥永津子/山下和子 |
パーカッション |
山村誠一(特別出演)/三上摂(マリンバ) |
出 演 |
関西合唱団/関西合唱団とともにうたう合唱団
レガーテ/ヴォーカルアンサンブルAVANTI |
ス タ ッ フ |
和田みや子(司会)/森昭夫(舞台監督) |
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演 奏 曲 1部 |
a song is born (詩:浜崎あゆみ 曲:小室哲哉 編曲:高平つぐゆき)
風 (詩:森田ヤエ子 曲:松永勇次)
大空へ飛べ (詩・曲:石原いっき 編曲:西 良三郎)
ふくろうの歌 (詩・曲:林 学 編曲:林 光)
いとしごよ (詩:小森香子 曲:原田義雄 編曲:青山義久)
【関西合唱団/山本恵造(指揮)/土肥永津子(ピアノ)】
さとうきび畑 (詩・曲:寺島尚彦)
【AVANTI/門万沙子(ピアノ)】
八月九日十一時二分 (詩:峯陽 曲:中島はる)
女声合唱組曲「長崎小景」より
花 (詩・曲:喜納昌吉 編曲:白石哲也)
【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)】
今日は日曜日 (詩:片岡輝 曲:池辺晋一郎)
混声合唱のための組曲「忘れっぽい人に」 (詩:中桐雅夫 曲:外山雄三)
1.白いハンカチ
2.母子草
3.想像力
4.忘れっぽい人に
【関西合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
IMAGINE (詩・曲:John
Lennon 訳詩:林光 編曲:外山雄三)
【関西合唱団/関西合唱団とともにうたう合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】 |
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2部 |
〜林光の世界〜
十二月の歌 (詩:S.マルシャーク 訳詩:湯浅芳子 曲:林光)
一瞬の「いま」を (詩・曲:林光)
雨の音楽 (詩:J.S.コックーJr. 訳詩:木島始 曲:林光)
星めぐりの歌 (詩・曲:宮澤賢治 編曲:林光)
海だべがど (詩:宮澤賢治 曲:林光)
祈り (詩:宮澤賢治 曲:林光)
私を束ねないで (詩:新川和江 曲:林光)
ねがい (詩:佐藤信 曲:林光)
新世界 (曲:ドヴォルザーク 詩:山ノ木竹志 編曲:池辺晋一郎)
みんなのうた (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久)
【関西合唱団/関西合唱団とともにうたう合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)/三上摂(マリンバ)
/山村誠一(特別出演)】 |
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チラシ(表) |
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ごあいさつ
プログラムより |
本日は、関西合唱団第67回定期音楽会にようこそおいで下さいました。
昨年のアメリカニューヨーク貿易センタービルでの自爆テロから1年が過ぎました。
この1年間、アメリカ政府はアフガニスタンに対して爆撃を幾度となく繰り返し、罪のない人々の命を奪いました。たとえどんな国であったとしても戻らない人の名前を呼ぶ声は同じです。憎しみからは憎しみしか生まれません。
この連鎖を断ち切りお互いが対等・平等の立場に立ってこそ平和な世の中が実現するのではないでしょうか。
「うたごえは平和の力」を合い言葉にわたしたちは歌い続けてきました。わたしたちの国が「戦争をしない国」から「戦争をする国」に変わることのないよう、そして平和に向かって動き出すよう一つの歌を通じてしっかりと訴えていきたいと思います。
本日は、「いま、いのちの重み感じて」をテーマに様々な立場、角度から命の尊さを歌い上げていきたいと思います。
これからも、ご指導・ご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。どうぞ最後までごゆっくりとお聴き下さい。
【関西合唱団 団長 吉岡勝】 |
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メッセージ
プログラムより |
選曲とその配列はメッセージであり、そのコンサートの、世界へ向かっての態度の表明ともなる。
守屋さんと関西合唱団によるわたしの歌曲へのアプローチには、皆さんの中の林光像が明確に表されていると思う。
よいコンサートになりますように。
【林 光】
第67回定期音楽会おめでとうございます。
「戦争をしない国」から「戦争をする国」になる動きの強まっている今、企業のモラルが崩れ、医療制度が重なる改悪と「いのちが」ますます軽く扱われています。
ものの価値観が問われている時代に、私たち音楽、文化運動の果たす役割はますます大きくなっています。
宮澤賢治、林光の世界への創造の広がりを今に鋭く問い、すべてのものに優先して「いのち」が大切にされる社会へ向けて、平和のメッセージが発信される事を確信しています。
【日本のうたごえ全国協議会 幹事長 高橋正志】
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プログラムノート
プログラムより |
オープニングは、浜崎あゆみとkeikoが歌ってブレークしたa song is born(2001)。同年9月11日の同時多発テロ事件に対しての思いを込めて作られた曲。この曲のCD収益の一部は、世界平和と子どもたちのために国連薬物乱用防止親善大使である小室哲哉を通じて国連本部に届けられる。
第1部の前半は、うたごえ運動内の作曲家によってつくられたスタンダードナンバーから4曲。風(1978)は、うたごえ運動30周年を記念して公募された曲のひとつ。さわやかな早春の風に形象化された自由を求める風が「ガラスの檻」(日立武蔵での隔離部屋による差別)に代表される職場の自由を求める働く者の願いに重ねて歌われる。つづいて、骨肉腫とたたかいながらもケースワーカーになろうと精一杯生き抜いた15才の少女鈴木亜里の短い人生に寄せてつくられたポップな曲大空へ飛べ(1977)、印刷工場で働く同僚の結婚式に贈られた曲で、当時のベトナム戦争下で昼夜をわかたずたたかうベトナムの人々の姿を重ねてつくられたふくろうの歌(1971)。最後はいとし子よ(1981)、作詩者は「平和を脅かす事件が相次ぐ中、小さい子どもが『命の重さってどんな重さ?』と母親に聞いたという話を聞いた・・・さまざまな思いがこの詩を生んだ。」とこの詩を書いた動機を語っているが、やさしく暖かい旋律が一層胸にひびくものとなっている。
合唱団の中から生まれたヴォーカルアンサンブルAVANTIが歌うのはさとうきび畑(1967)。多くの歌手がカバーしている名曲、沖縄戦の悲しみがさとうきび畑の間を吹き抜ける風音に託して歌われる。
つづいては、女声合唱団レガーテのステージ。
1曲目の八月九日十一時二分(1998)は、長崎を様々な角度から見つめ歌い上げようとつくられた女声合唱組曲「長崎小景」の中の1曲で、原爆投下の悲劇を静かに糾弾している。2曲目は日本のみならずタイや台湾、中国などアジア各国でも大ヒットしている花(1980)。作曲の喜納昌吉は、高校生の時に東京オリンピックのフィナーレであらゆる民族が抱き合い、笑い、踊っている風景を見て、当時、沖縄はアメリカの統治下だったが、心に、「泣きなさい、笑いなさい」の響きが、自然とわき上がったという(テレビ東京『そして音楽が始まる』より)。
第1部後半は、関西合唱団が委嘱した作品。
池辺晋一郎作曲による今日は日曜日(1986)は、同年に初演した「六人の作曲家による組曲」の中の1曲。何気ない日曜日の風景と、かつて(今も・・・)世界で引き起こされている非人道的な現実とのコントラストを鮮明に描いている。
合唱組曲「忘れっぽい人に」(1993〜1994)は、中桐雅夫の詩に外山雄三が曲をつけた4曲からなる作品。たたきつけるように鋭く問いかけてくる詩に、抑制され、時には激しく迫る旋律がつけられている。作曲者は、「3.想像力」の初演に寄せて「子どもの基本的な権利を守ることについて、子どもたちの未来に何を残していけるかについて、いま、真剣に考えなければ人類に明日はない、と思っている。」(第58回定期音楽会プログラムより)と述べている。
第1部の最後は、ジョン・レノンのIMAGINE(1971)。同時多発テロ事件後、アメリカで放送自粛リストに入れられたという。報復戦そうたるアメリカによるアフガニスタン攻撃、イスラエルによるパレスチナ侵攻、米英のイラク攻撃計画など暴力による支配が世界を覆う状況のもとで、”感じてごらん こころで みんなが平和に 暮らすだろう”と歌う愛と平和のメッセージは不滅である。
第2部は、”林光の世界”。林光の数多くの歌は”ソング”と呼ばれているが、この呼び方は、ドイツの詩人ベルトルト・ブレヒトが自らの劇中歌を呼んだ使い方からきている。親しみやすく、かつ芸術性が高い多様な曲がつくられてきたなかから、今回合唱曲8曲を取り上げた。
まず、オペラ「森は生きている」より2曲。ソ連の劇作家マルシャークの原作による有名な物語で、女王の「新年までにマツユキ草をもってくるように」とのお触れで、みなしごの少女が真冬の森の中に探しにやられるが、4月に咲くこの花が見つかるはずもなくさまよっているところを、森の中に住む十二月の精たちが「春」をよび、少女にマツユキ草を贈る・・・十二月の歌は、十二月の精たちがたき火を囲んで歌う場面で、一瞬の「いま」を(1983)は、冬から4月になってマツユキ草が咲き乱れる場面で4月の精と少女の二重唱で歌われる。なお、十二月の歌は、林光の青島広志による合唱編曲番を演奏する。
雨の音楽(1980)は、アフリカの乾いた大地に恵みの雨が降り注ぐさまと天からの恩恵への喜びを効果音などを使って表現した楽しい曲。
続いての3曲は、いずれも宮澤賢治の詩文によるものである。星めぐりの歌(1985)は、賢治が最初に書いた童話だといわれる『双子の星』の中で、天の川の西の岸にある双子の星、チュンセ童子とポウセ童子がこの星めぐりの歌にあわせて笛を吹くという、幻想的な美しい曲。海だべがど(1977)は、「高原」という詩に曲をつけたもの。”海だべがど、おら、おもたれば やっぱり 光る 山だたぢゃい ホウ 髪毛 風吹けば 鹿踊りだぢゃい”とユーモラスな方言で力強く歌われる。3曲目の祈り(1996)は、賢治の童話『烏の北斗七星』の一節に曲がつけられている。烏の戦闘艦隊の大尉が、許嫁の烏をおいて敵の山烏とたたかい、戦闘を終えて、マジェル様とよぶ北斗七星を仰いで涙を流しながら”ああ、マジェル様、どうか憎むことのできない敵を 殺さないでいいように 速くこの世界がなりますように・・・”と祈る印象的な旋律がこころに深くしみわたる。
最後の2曲は社会的メッセージの強い曲である。
わたしを束ねないで(1987)は、日本国憲法を主題として外山雄三と林光が作曲した交響曲「五月の歌」の中の1曲。”わたしを束ねないで”と印象的な旋律で始まるが、作詩者は「わたくしは、何ものにも隷属しない、わたくし自身の<女性>にすら隷属しない、自由な生き方というものをはげしく希求した」(『朝ごとに生まれよ、私』)その想いがこの詩になってあらわれたと記している。ねがい(1982)は、同年の「ポーランド緊急支援コンサート」で初演されたもので、ポーランド自主労組連帯への支援を込めてつくられた曲。
第2部の最後は、ドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調「新世界より」第2楽章の有名な旋律に詩を付し池辺晋一郎が合唱編曲した新世界(2002)である。
【第67回定期音楽会企画委員会】 |
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