定期演奏会の紹介

第79回定期演奏会の紹介

 憲法を守る想いを託して
新作「英霊たちの歌」を新実徳英さんの指揮で初演

あなたは 子どもに 何を 手渡したい
あなたは 子どもに 何を 手渡さない

 ご来場ありがとうございました。皆様のおかげをもちまして、演奏会を無事終了することができました。
 演奏会のご意見・ご感想などありましたら、どしどしメールでお寄せ下さい。
なお、当日の本番の様子やリハーサルの様子アルバムにアップしました。


演奏日時 2014年日(土)午後6時半開演 開場は6時  日(日)午後1時半開演 開場は1時
演奏会場 いずみホール
指   揮 新実徳英(特別出演)/山本恵造/守屋博之
ピ ア ノ 門万沙子/石田瑞枝/山下和子
器楽伴奏 西田麻希子(フルート)/丹下緒(トランペット)/藤岡靖博(ベース)/小川悟史(ドラムス)
出   演 関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団・ともに歌う青年/レガーテ/関西合唱団60周年記念合唱団/ヴォーカルアンサンブルAVANT/北部センター合唱団/大阪府庁うたごえ合唱団/大阪朝鮮高級学校声楽部、舞踊部、民族器楽部
スタッフ 山崎 一(司会)/森昭夫(舞台監督)
チ ケ ッ ト S席 3,200円、A席 2,800円(1階席)、B席 2,5000円(2階席) 全席前売り指定です。

演 奏 曲  第1部 “日本民謡、愛唱歌

「近代日本名歌抄」より
 あの町この町                        (野口雨情 詞 中山晋平 曲 信長貴富 編曲)
 影を慕いて                          (古賀政男 詞・曲 信長貴富 編曲)
おてもやん                           (熊本県民謡 金井 信 編曲)

   【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/門万沙子(ピアノ)/西田麻希子(フルート)/
    小川悟史(パーカッション)/藤岡靖博(ベース)】
浜辺の歌                            (林 古渓 詩 成田為三 曲 林 光 編曲)
仲間達                              (くすみまこと 詩 芥川也寸志 曲 徳山美奈子 編曲)

    【ヴォーカルアンサンブルAVANTI/門万沙子(ピアノ)】

平和の子守唄                         (H・Katwo 詩 A・Khaug 曲 木内宏治 訳詩・編曲)
合唱とピアノのための掌編組曲「希い」より
 希い(ねがい)                         (きむらいずみ 詞 武 義和 曲)

    【関西合唱団60周年記念合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
組曲 「砂川」より
 火に                               (坂本万里 詩 芥川也寸志 曲)

    【関西合唱団/関西合唱団60周年記念合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】


平和を願って

合唱組曲「空に小鳥がいなくなった日」より
 私が歌う理由                          (谷川俊太郎 詩 外山雄三 曲)
おやすみ                             (デサンカ・マグシモビッチ 詩 外山雄三 曲)

   【関西合唱団/山本恵造(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

リメンバー                             (なかにし礼 詞 鈴木キサブロー 曲 金井 信 編曲)

   【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

「英霊たちの歌」   (委嘱初演作品)
                      (和合 亮一、角田 英一 詞 新実徳英 曲)
 1章 陸の英霊の声
 2章 海の英霊の声
 3章 空の英霊の声
    【特別出演:新実徳英(指揮)/関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/大阪北部センター合唱団/
     大阪府庁うたごえ合唱団/門万沙子(ピアノ)】
 

       第2部 世界の歌

ラ・バンバ                              (メキシコ民謡 金井信 編曲)
You raise me up                          (Brendan Graham、Rolf Lovland 詞・曲
                                                Roger Emerson 編曲)
民衆の歌(ミュージカル「レ・ミゼラブル」より)         ( Schonberg Claude Michel 曲 どすこい 日本語詞 武 義和 編曲)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)/西田麻希子(フルート)/
    丹下 緒(トランペット)/小川悟史(ドラムス)/藤岡靖博(ベース)】
鄙ぶりの歌                             (茨木のり子 詩 新実徳英 曲)
みんな一緒に                            (ロス・ハイバス 詞・曲 加藤登紀子 訳詩 山下和子 編曲)

    【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)/小川悟史(ドラムス)/藤岡靖博(ベース)】

故郷に思いを寄せて

貝殻のうた                             (和合亮一 詩 伊藤康英 曲)
明日へ(MISIA 楽曲)                       (MISIA 詞 松本俊明 曲 笹崎榮一 編曲)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)/小川悟史(ドラムス)/
    藤岡靖博(ベース)】
共に生きる町                            (金 明植 詩 林 光 曲)
    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/大阪朝鮮高級学校声楽部、舞踊部、民族器楽部/山本恵造(指揮)
    /石田瑞枝(ピアノ)】

僕のつくる道(青年とともに)                   (こだま 詞 安広真理 曲)
    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/青年とともに歌う合唱団/レガーテ/
   大阪朝鮮高級学校声楽部、舞踊部、民族器楽部/山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)】

みんなのうた                   (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/青年とともに歌う合唱団/レガーテ/
    大阪朝鮮高級学校声楽部、舞踊部、民族器楽部/山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)】

チラシ
(表)
大きな画像(498B)
チラシ
(裏)
大きな画像(464KB)

ごあいさつ
(プログラムより)
 本日は、関西合唱団第79回定期演奏会にようこそお越しくださいました。厚くお礼申し上げます。
 当団は本年で創立66年を迎えますが、常に平和を願ううたごえを探求してまいりました。「再び戦争をしない」と誓った戦後の国づくりの原点が危うくなってきていることに本当に心が痛みます。新実徳英先生に作曲のお願いをしましたところ、そんな私たちの想いにぴったりの曲「英霊たちの歌」を作っていただきました。本日は、新実先生ご自身の指揮で、大阪北部センター合唱団、大阪府庁うたごえ合唱団の皆さんと一緒に心を込めて演奏いたします。
 また、4月にレガーテの皆さんのご尽力で、福島県で開催された「響aiコンサート」に出演させていただき、原発事故避難地域を見学してまいりました。あの震災の日のまま放置された風景に言葉を失いました。微力ではありますが、被災地の方々に心を寄り添えるように歌ってまいりたいと思います。「共に生きる町」を演奏するにあたり、快くご出演いただきました大阪朝鮮高級学校の皆さまにも感謝申し上げます。
 本日の演奏会も関西合唱団60周年記念合唱団に守屋博之さん指揮にて出演いただきますが、当団の指揮者の体制が変わって最初の演奏会となります。ここまで歩んでくることができましたのも、ひとえに本日お越しくださいました皆様を始め多くの方々のご支援やご協力があってこそと、心より感謝いたしております。今後とも暖かいご支援ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 どうぞごゆっくりとお楽しみください。

【関西合唱団 団長 山本則幸】

メッセージ
(プログラムより)
 憲法第96条を、そして第9条を「改正」しようとする動きがあります。
 何が必要で何が必要じゃないのか、いろいろな考えがありましょうが、少なくとも僕は、自分や自分の子どもたちの世代が戦争に行って「人殺し」をしてくるようなことはマッピラゴメンです。
 関西合唱団の委嘱の意向に大いに共感し、このようなテキストを作っていただき3曲の組曲にしました。
 なによりも問いかけたかったのは「あなたは自分の子どもを戦争に行かせたいですか」です。これに対して断固「NO!」を叫ぶ方々にこの組曲を捧げたい。が、「YES!」と答える方々にも捧げたい。なぜなら、その方々こそこの組曲を歌ったり聴いたりすべきではないか、思うからです。
 平和と国民を守るのに命をかけるのが為政者の使命だと僕は信じています。そして、そのようであって欲しいと願っています。
【新実徳英(作曲家)】

 護憲集会の後援を拒否する自治体が相次ぎ大きな波紋を投げかけています。背景には改憲にひた走りするタカ派政権に過剰なまでの忖度(そんたく)をし、事なかれ主義に走る及び腰の行政の姿勢が見てとれます。
また、卑近な例ですが再来年開催予定の「悪魔の飽食」全国縦断コンサート福岡公演に向けて交渉してきたK交響楽団との共演が、楽団上層部から政治的だという理由で拒絶、19年にわたる同コンサート史上初めての不祥事が突発しました。
これらは氷山の一角ですが、「日本丸」がいま、大きく右旋回されようとしている情勢のもと65年を超える日本のうたごえ運動の歴史の中で常に先進的で洗練された創造普及活動を実践してこられた関西合唱団が、今演奏会でもさらに意欲的で時機にかなった新実先生の委嘱作品「英霊たちの歌」はじめ多彩なプログラムを私たちに提供してくれる。なんと魅力的でどれだけ多くの人々と全国のうたごえを励まし勇気づけてくれることか。団を中心に集まる大勢の仲間たちから煌めき舞い放たれる音符たち。自由に線上を飛び交える音符は平和の証。貴団の音符たちはいつも素敵に輝いているのです。
「せん(線)はどこでもいける じぶんがみちだからせんはじゆう せんはなににでもなれる」(谷川俊太郎「せんはうたう」より)。第79回定期演奏会のご盛会を心からお祝い申し上げます。
【日本のうたごえ全国協議会 会長 田中嘉治】

PROGRAM NOTE
(プログラムより)
あの町この町(1924)は、関東大震災の翌年に雑誌『コドモノクニ』に掲載された童謡。

影を慕いて(1931)は、古賀政男による昭和歌謡の代表的名曲。藤山一郎の歌唱によりヒットした。失恋の痛手の中にあった古賀の懊悩を歌にしたもの。編曲者の信長貴富は、「近代日本の芸術家たちの熱情に寄せた」とコメントしている。

おてもやん 熊本県民謡。元は熊本甚句(花柳界のお座敷唄)で、1935年頃、赤坂小梅が歌ったレコード化によって、日本全国に知られた。明るく速いテンポの曲を金井信がポップス調の合唱アレンジにしたもの。

浜辺の歌(1916)林古渓が東京音楽学校の校友会誌『音楽』に「はまべ」と題して発表した詩に、同校在学中だった成田為三が作曲した。林が幼い日に神奈川県辻堂東海岸付近の浜辺を歩いたときの追憶を歌ったものとされている。

仲間達(1953)第1回日本のうたごえ祭典のために創作され終幕を飾った、当時うたごえ運動に協力していた専門家の一人芥川也寸志の作品。『5人の作曲家の編曲によるうたごえ作品集』(2008)の中の1曲。

平和の子守唄 エストニア共和国の「タリン音楽祭」のフィナーレで3万人をこえる合唱団が平和と民族の独立を願って歌った同曲を1987年北海道合唱団が、海外公演の際に入手した。

希い(2014)原発の問題を巡って分断されている人々の心を一つにするにはどうしたらよいか、悩みながら紡がれた詞に、福島の人たちにとどまらず、私たちの「悲しみ」であり「怒り」であり、同時にそこからの「希い」であり「祈り」を伝えたいと曲がつけられた。日本のうたごえ祭典inみやぎ「復興を希う音楽会」で全曲演奏される。

組曲「砂川」より 火に(1956)東京の砂川町(現立川市)の在日米軍立川基地拡張に反対した砂川闘争をテーマにして、芥川也寸志に作曲を依頼し作られた組曲「砂川」の終曲。集団的自衛権行使をめぐり砂川判決が注目される中で、今に生きる砂川闘争のこころが歌われる。

合唱組曲「空に小鳥がいなくなった日」より 私が歌う理由(1987)外山雄三が関西合唱団のために作曲した組曲の第1曲。弱いもの、虐げられたものへの優しいまなざしとその背景への厳しい視線が、緊張感ある音楽で伝わる。

おやすみ(1993) 朝日新聞1993年元旦号に掲載された、セルビア生まれの女性詩人デサンカ・マクシモビッチによる詩の痛切な内容が、かぎりなく美しく静かな曲調により一層胸に迫ってくる。

リメンバー(2013)同年の日本のうたごえ祭典・おおさかで佐藤しのぶが演奏した同曲を、大阪のうたごえ協議会が編曲委嘱した混声合唱版の初演。被爆国から反戦・反核のメッセージを世界へ広げたいという佐藤しのぶの願いに、作詞家で直木賞作家のなかにし礼が応え、昨年発表されたもの。

英霊たちの歌(2014)今まさに平和憲法が変えられようとしている中、新実徳英、和合亮一に委嘱した作品。「英霊とは赤紙一枚で戦争に取られ、死んでいった兵士たちであるべきだ。靖国神社にお詣りする政治家たちの英霊とは全く異なる。」との作曲者の思いを込めて作られた。ふたたび英霊をつくらせてはならない、と深く心に響いてくる。

ラ・バンバ メキシコの民謡を元にした楽曲で、映画「ラ★バンバ」の主題歌として1950年代と1980年代に世界的にヒットした。「ラ・バンバ」は、「ゆらめく」「よろめく」などを意味するスペイン語によると考えられている。

You Raise Me Up(2002)アイルランド・ノルウェーのミュージシャンであるシークレット・ガーデンが「ロンドンデリーの歌」の旋律をベースに制作した楽曲。

民衆の歌(1980)ヴィクトル・ユーゴーの小説を原作としたミュージカル『レ・ミゼラブル』の劇中歌。1830年のフランス七月革命後も抑圧と貧困に苦しむ労働者と学生達が自由で平等な社会の実現を目指し、バリケードを築き政府軍の攻撃を待ち受ける場面で歌われる。

鄙ぶりの歌(2009)女声コーラスしなのの委嘱による新実徳英作曲の「五つのジャズソング」の中の一曲。茨木のり子の毅然とした詩に、ジャズ風な曲がつけられ、曲中には各国の民謡も散りばめられている。今の時代に、また輝きを放つ歌である。

みんな一緒に 1973年ピノチェトによる軍事クーデターにより亡命を余儀なくされたチリのロックバンドLOS JAIVAS(ロス・ハイバス)が作った曲。他国に侵略し続けられた歴史を持つ南アメリカの人民が、太陽と海と大地のもとに「憎しみを捨ててみんなでひとつになって生きよう」と力強く呼び掛ける歌。

貝殻のうた(2011)東日本大震災・福島第一原発事故以来、ツィッターで発信し続ける福島の詩人・和合亮一の詩に作曲された伊藤康英の曲。人の気配のない南相馬市を訪れた際に浜辺で拾った一つの貝殻を机の上に置くようにしてこの詩は書かれ、詩の発表の翌日に作曲された。

明日へ(2011)東日本大震災が起きた直後、MISIAの切実な思いを込めた東日本大震災復興応援メッセージソングとしてアルバム『SOUL QUEST』に収録された。2012年紅白歌合戦の中でナミビアの砂漠で熱唱され感動を呼んだ。

共に生きる町(1987)憲法施行40周年に際して、愛知「市民フェスティバル」実行委員会が委嘱・初演した交響曲『五月の歌』(外山雄三、林光曲)の中の第4曲。指紋押捺を拒否して国外追放された留学生の金明植が最初に作った日本語による詩に林光が作曲したもの。

僕のつくる道〈2013〉うたごえ65 周年記念出版『うたごえは生きる力』収録に向けて、福島県の高校生も作詞に参加して青年たちの手で作られた曲。

英霊たちの歌
(チラシ裏より)
 今まさに平和憲法が変えられようとしている中、新実徳英、和合亮一両氏に新たな作品を作っていただきました。「英霊とは赤紙一枚で戦争に取られ、死んでいった兵士たちであるべきだ。靖国神社にお詣りする政治家たちの英霊とは全く異なる。」この新実氏の思いを込めてこの作品は作られました。
 第1章 陸の英霊の声、第2章 海の英霊の声、第3章 空の英霊の声の3曲からなるこの曲は、ふたたび英霊をつくらせてはならない、と深く心に響いてきます。 

メッセージ
(チラシ裏より)
 新実徳英 
 憲法第96条を、そして第9条を「改正」しようとする動きがあります。
 何が必要で何が必要じゃないのか、いろいろな考えがありましょうが、少なくとも僕は、自分や自分の子どもたちの世代が戦争に行って「人殺し」をしてくるようなことはマッピラゴメンです。
 関西合唱団の委嘱の意向に大いに共感し、このようなテキストを作っていただき3曲の組曲にしました。
 なによりも問いかけたかったのは「あなたは自分の子どもを戦争に行かせたいですか」です。これに対して断固「NO!」を叫ぶ方々にこの組曲を捧げたい。が、「YES!」と答える方々にも捧げたい。なぜなら、その方々こそこの組曲を歌ったり聴いたりすべきではないかと思うからです。
 平和と国民を守るのに命をかけるのが為政者の使命だと僕は信じています。そして、そのようであって欲しいと願っています。
 

英霊の歌 歌詞
(プログラムより)
 英霊たちの歌
 和合 亮一、角田 英一

1.(陸の英霊の声)

 あなたの子どもを戦争に行かせたいですか
 あなたの子どもを戦場に送りたいですか

 「戦うときは戦う」
 誰と戦うのですか
 「国のために戦う」
 どの国と戦うつもりですか

 机の上で戦っていたあの人たちは
 号令するだけのあの人たちは
 負け戦なのに勝利を唱えたあの人たちは
 そして今を生きるあなたたちも

 南の島のどこでわたしが死んだのか
 誰も知らない

 あなたは 子どもに 何を 手渡したい
 あなたは 子どもに 何を 手渡さない

 空を 山を 鳥を 大地を さえずりを
 美しさを 優しさを 
 
 武器を 戦場を 不条理を 無念さを
 手渡してはいけない

 あなたは 子どもに 何を 手渡したい
 あなたは 子どもに 何を 手渡さない

 空を 海を 雲を 銀河を 
 光る帆を いつくしみを ほほえみを


 武器を 血のむごさを 無言の死を 
にくしみを
 手渡してはいけない

 海よりも空よりも 深い寂しさを
 あなたは子どもに 手渡したいのですか

 変えてはいけないもの
 この手のやさしさだ
 この手のただしさだ


2.(海の英霊の声)

 さびしい
 わたしはいまも海の底に ただ一人

 母さん
 どうしてわたしは ここにいるの?

 海よ 母よ もう一度
 子どもになって 抱きしめてほしい

 海よ 波よ お国のために 人を殺せとは
 どういうことなのか

 ここから もう一度 丘のうえにあがって
 風を追いかけたいのです

 ここから もう一度 丘のうえにあがって
 風を追いかけたいのです

 ふるさとよ わたしは さびしいのです

3.(空の英霊の声)

 三千メートル上空 三千メートル上空
 この気持ちよさ
 大空の広がりの中で
 オレはただ一人

 オレの手は勝手に動く
 オレの手は勝手に動く

 空中から 爆弾を落とす
 ただそれだけ それだけなのだ
 逃げまどう人々 はじけとぶ人々
 それは つまりオレたち自身だ

 オレたちの子孫よ
 平和に生きているか
 今を生きているか
 明日はあるか
 友だちはいるか
 恋人はいるか
 家族はいるか 
 みんな元気か

 普通に暮らす
 普通の幸せ
 ただそれだけを
 願っているか

 あなたは 子どもを戦場に行かせたいですか
 あなたは 子どもを戦場に送りたいですか

リメンバー
(チラシ裏より)
 昨年の大阪城ホールでの日本のうたごえ祭典で手話を交えての核兵器廃絶を願った佐藤しのぶさんの演奏は1万人を超える聴衆の心に深く響きました。当日、佐藤しのぶさんより「うたごえの皆さんに是非とも歌って広めてほしい。」とCDを託されました。
 この曲は、被爆国から反戦・反核のメッセージを世界へ広げたいという佐藤さんの願いに、作詞家で直木賞作家のなかにしさん礼が応え、昨年発表されました。英語版、フランス語版などの制作も計画されています。
 今回、大阪のうたごえ協議会として金井信さんに編曲を依頼し、混声合唱曲としての初演となります。