定期演奏会の紹介

第81回定期演奏会の紹介

 What I should do  今 何をすべきか
  What to Sing     何をうたうか

 ご来場ありがとうございました。皆様のおかげをもちまして、演奏会を無事終了することができました。
 演奏会のご意見・ご感想などありましたら、どしどしメールでお寄せ下さい。


演奏日時 2016年25日(土)午後6時半開演 開場は6時  26日(日)午後2時開演 開場は1時半
演奏会場 いずみホール
指   揮 守屋博之/山本恵造/佐藤恵美子
ピ ア ノ 門万沙子/石田瑞枝/山下和子/植永麻美
器楽伴奏 藤岡靖博(ベース)/小川悟史(ドラムス)
出   演 関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/ともに歌う青年/関西合唱団第100期研究生/関西合唱団60周年記念合唱団/レガーテ/
ヴォーカルアンサンブルAVANT
スタッフ 山崎 一(司会)/森昭夫(舞台監督)/大倉好美(振付)
チ ケ ッ ト A席 3,000円、B席 2,5000円 全席前売り指定
(当日はそれぞれ300円増しとなります)高校生以下、障害者と介護者(1名)の方は全席500円引きです。

演 奏 曲  第1部 混声合唱とピアノのための「赤い鳥小鳥」〜北原白秋詩集〜より      (信長 貴富 編曲)

 揺籠のうた                     (草川 信 曲)
 ちんちん千鳥                    (近衛 秀麿 曲)
 赤い鳥小鳥                     (成田 為三 曲)
 この道                        (山田 耕筰 曲)
 揺籠のうた                     (草川 信 曲)

   【関西合唱団/山本恵造(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
雨あがり                       (青山 義久 詩・曲)
ひとりの歌                      (きむら いずみ 詞 武 義和 曲)

    【ヴォーカルアンサンブルAVANTI/門万沙子(ピアノ)】

合唱組曲「ぼくらの街のうた」より 終章     (村上 和生 詞 上田 忠喜 曲)
合唱のためのラプソディ 魔女はだれだ!   (木下 そんき 詩・曲 石黒 真知子 協力・補作)

    【関西合唱団60周年記念合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
The Rose                      (Amanda McBroom 詞・曲 きたがわ てつ 訳詞)

    【関西合唱団/関西合唱団60周年記念合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

三つのイメージ                    (谷川 俊太郎 詩 林 光 曲)
骨のうたう                        (竹内 浩三 詩 外山 雄三 曲)
今日は日曜日…昔気質のプロテストソング   (片岡 輝 詩 池辺 晋一郎 曲)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
 

       第2部 だいすきペペロン                   (関西合唱団第100期研究生 詞・曲)
つぼみの希望(ゆめ)                (関西合唱団第100期研究生 詞・曲)

    【関西合唱団第100期研究生/佐藤恵美子(指揮)/植永麻美(ピアノ)】
<世界の歌メドレー> 〜金井 信 編曲による〜
 ブラジルの水彩画                 (Arry Barroso 詞・曲)
 ドミノ                          (J.Plante 詞 L.Ferrari 曲)
 アマポーラ                      (L.Roldane 詞 J.Lacalle 曲)
 ヴォラーレ                      (D.Modugno & F.Migliacci 詞 D.Modugno 曲)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)/
     小川悟史(ドラムス)/藤岡靖博(ベース)】
死んだ男の残したものは              (谷川 俊太郎 詩 武満 徹 曲 赤堀 文雄 編曲)
雨の音楽                        (Joseph Seamon Cotter.Jr 詩 木島 始 訳 林 光 曲)

    【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)】

< 3人の女性作曲家による >
 スプーン一杯の                  (石黒 真知子 詩 長森 かおる 曲)
 Watanuna - Our Homeland -       (岡本 桂香 詞・曲 Ammar Saleh and other friends 歌詞補作
                              山下 和子 合唱補作)
 Air                          (安広 真理 曲)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)】
Rise Up Again                 (Hyunchul Lee 詞・曲 岩本 達明 日本語詞)

    【関西合唱団/ともに歌う青年/関西合唱団第100期研究生/山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)/
     小川悟史(ドラムス)/藤岡靖博(ベース)】

チラシ
(表)
チラシ
(裏)

ごあいさつ
(プログラムより)
  本日は、関西合唱団第81回定期演奏会にようこそお越しくださいました。厚くお礼申し上げます。
 今回、私たちは3人の女性作曲家の皆さんに、女性ならではの視点から作品を創っていただき、いまの日本社会、そして世界のありようを見つめて、いのちの尊厳が踏みにじられていることへの、私たちのまなざしを表現したいと考えました。創っていただいた3曲は、奇しくも中東のシリア、国際の平和にかかわる曲となりました。私たちは、「平和」というとき、自国のことのみならず、密接に関連しあう世界のことを考えずにはいられません。恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生きる当たり前の願いが脅かされている人々に思いをはせ、関心を持つこと、うたで表現することが、私たちが平和のためにコミットしていくことだと確信しております。
 本日の演奏会には、関西合唱団第100期研究生が出演いたします。1952年に第1期研究生が始まり、多くの方が研究生を修了され各界でご活躍されておられることをお聞きするにつれ、研究生制度の果たしてきた役割を感じております。拙い舞台ではありますが、研究生の素直な想いがあふれた創作曲を暖かく応援いただければと存じます。
 また、ともに歌う団員や青年、レガーテ、守屋博之さん指揮の関西合唱団60周年記念合唱団に出演いただきます。私たちは、本日お越しくださいました皆さまを始め、ご支援、ご協力いただいている多くの皆さまのおかげでここまで歩んでくることができました。心より感謝いたしております。今後とも温かいご支援ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 どうぞごゆっくりとお楽しみください。

【関西合唱団 団長 山本則幸】

メッセージ
(プログラムより)
 関西合唱団第81回定期演奏会おめでとうございます。
 今回の演奏会に「生命の尊さ」をテーマに作曲の依頼を受け光栄に思っております。
私は 一昨年に石黒真知子さんの詩に作曲をするご縁があり、その出会いの中で すっかり石黒さんの詩の世界に魅了され、今回の作曲の為の詩をお願い致しました。『スプーン一杯の』の詩に初めて触れた時 ……? そこには瑞々しい感性や小さな命への眼差しが感じられました。詩とともに旋律がどれだけ歌い手の心に、また聴き手の心に届いてくれるかと願いながら作曲を進める事ができました。
初演を楽しみに致しております。
【長森 かおる】

 シリアという国はこの戦乱が起こる前は自殺率が世界最下位の国でした。遺伝子組み換え食品を法律で禁止した、世界でも数少ないNOが言える国でもありました。また、かつてはシリアこそが難民受け入れ世界第4位の国でもありました。
 消費社会が主導権を握るこの世界経済の圧力に屈せず自立したシリア国家は、物質的な豊かさはなくとも心満たされた国でした。現在シリアで起きている事態の背景を、私達が見直すべき時が来ています。
【岡本 桂香】

 今、私たちは、原発、戦争法、テロなど、とてつもなく大きな問題を抱え、それぞれに心を痛めています。皆、平和な世界を望んでいるはずですが、具体的な「言葉」にすると、それぞれの思想信条の違いから、少しずつ齟齬が生まれてしまう気がしています。今回は、国、言語、宗教、思想信条を超えて、この地球に生まれてきた全ての生命がやさしい空気に包まれますようにという祈りを込め、言葉を用いないヴォカリーズという手法で書きました。小さな、拙い曲ですが、聴いた方が少しでもおだやかな気持ちになれば…と思っております。
【安広 真理】

 うたごえ運動の歴史の中で常に洗練された創造普及活動を実践してこられた関西合唱団が、今演奏会でもさらに意欲的で時宜にかなった三人の女性作曲家への委嘱作品はじめ多彩なプログラムを届けてくださる。奇しくも三人の作品のテーマとなったシリア。2003年、米英軍がイラクへの空爆を開始、戦争で死亡した民間人約65万人、親を失った子どもは80万人とも。戦争の口実だった大量破壊兵器が実はなかったことで、この戦争の“正義”は完全に「虚構の大義」となりました。
 米国の武力行使を「支持する」とした私たちの国は今日、集団的自衛権行使容認、武器輸出三原則の撤廃等々、憲法を壊し「戦争する国」に大きく一歩を踏み出しました。今日の演奏会で言葉の真実に迫る音符たちが、心の羅針盤となり、平和への指針になると確信いたします。
【日本のうたごえ全国協議会 会長 田中嘉治】

PROGRAM NOTE
(プログラムより)
混声合唱とピアノのための「赤い鳥小鳥」〜北原白秋童謡詩集〜より(2009)
 1918年、鈴木三重吉の提唱により童話童謡雑誌『赤い鳥』が創刊され、政府主導の唱歌に対して「芸術的香気の高い」童話・童謡の創作・普及運動を推進した。同誌には、北原白秋と西條八十という二人の詩人による「童謡」が発表され、以降、「芸術味の豊かな子どもの美しい空想や純な情緒を育む曲」としての「童謡」の概念が定着した。
 本作は、神奈川県小田原市で詩作を続けた北原白秋の童謡をメドレーとした編曲集で、小田原地区合唱連盟の創立40周年を記念して2009年初演された。4曲を抜粋して演奏する。

雨あがり
 東京の三多摩青年合唱団が、1978年から数年間にわたり三多摩地方の各市町村でくまなく開いたコンサートのテーマ曲。広範な人々にうたごえを届けようという団員たちの気持ちのように、明るさと、親しみやすさをもった曲。

ひとりのうた(2016)
 安保法制(戦争法)案反対のために、それまでデモや集会に参加したこともなかった人たちが、国会議事堂前に押し寄せた。震えるほどの勇気を出して参加した名もない人たちの気持ちがこの曲となった。作曲者は、楽譜の冒頭に「平和と自由を愛する 名もなき大切なあなたへ」と記している。

組曲「ぼくらの街のうた」終章(1971)
 1971年4月、「大阪にきれいな空をとりもどそう」の合い言葉のもとに誕生し、2期8年続いた黒田革新府政。その新しい時代を切り開いた歓びを、当時まだ音楽大学の学生であった故上田忠喜が誇り高く歌いあげた組曲「ぼくらの街のうた」の終曲。

合唱のためのラプソディ 魔女は誰だ!(2016)
 詞も、曲のつくりも、うたごえ運動にとってユニークで画期的な作品。まず、かつて権力に都合悪い人たちが魔女にされ処刑されたことをうたい、後半では私たち一人ひとりが、鬼になり魔女になって、戦争を仕掛けるものをやっつけようと高らかに歌いあげる。今日は短縮版の初演となる。

The Rose(1979)
 1960年代を代表するロックシンガーといわれ、27歳で夭折したジャニス・ジョプリンの壮絶な生き方と音楽をえがいた同名の映画の主題歌。ベッド・ミドラーが歌い、多くの歌手によりカヴァーされ、スタンダードナンバーとなっている。
 
3つのイメージ(1997)
 日本のうたごえ50周年記念祭典・おおさかのために作られた「日本のうたごえ50周年記念作品」の中の1曲。谷川俊太郎の詩は、火と水と人間の矛盾に満ちた未来のイメージを贈ると書いている。人類文明の発展を支えた火が原子力の火となり、人間の生命の根源である水が時に洪水として襲いかかるが、いかなる未来を人間は手にしようとするのか鋭く問いかけている。

骨のうたう(1982)
 第43回定期音楽会において委嘱初演した混声合唱のための「よびかけ」の中の1曲。三重県伊勢市に生まれた竹内浩三(1921−1945)が入隊する前に書いた詩。竹内はフィリピン・ルソン島で戦死するが、堪えられない戦死のさびしさと他方で故国の発展が見通されているその透徹した視線が切々と胸に迫ってくる。

今日は日曜日〜昔気質のプロテストソング(1986)
 第50回定期音楽会において委嘱初演した「6人の作曲家による合唱組曲」(外山雄三、林光、林学、池辺晋一郎、中村茂隆、木下そんき)の中の1曲。何気ない日曜日の日常と同時に世界のどこかで進行する理不尽な危機が見事に対比されている。

だいすきペペロン(2016)
つぼみの希望〜ゆめ〜(2016)
 第100期研究生教育(2015年8月開講)において、詩作、作曲、朗読およびダンスの特別講座を開き、集団的に楽しく歌詞作りと作曲を行った。研究生の想いや何気ない日常風景が素直な言葉に込められている。詩作は上田假奈代、作曲は原田義雄、振付は大倉好美の指導による。

世界のうたメドレー(2016)
 ブラジルで「もう一つの国歌」と呼ばれるほど愛されているサンバブラジルの水彩画(1939)、ワルツ調のシャンソンドミノ(1950)、スペイン出身の作曲家によるヒナゲシの花を愛しい人に見立てたラブソングアマポーラ(1924)、アメリカのビルボードのヒット・チャートで初めて英語以外の曲で1位になったカンツォーネヴォラーレ(1958)を、金井信の華麗かつ優雅なアレンジでメドレーにしたもの。
 
死んだ男の残したものは(1965)
 ベトナム戦争のさなかに開催された「ベトナムの平和を願う市民の集会」のためにつくられた曲。谷川に作曲を依頼された武満は1日で曲を完成させたという。女声合唱編曲は、レガーテが作曲者に直接交渉し、赤堀文雄に委嘱したもの。

雨の音楽
 アフリカの乾いた大地に雨が降り注ぐさまと天からの恩恵への喜びを表現した曲。豪雨が神様の撥(ばち)で地球が太鼓 という発想は、アフリカ系アメリカ人である詩人のルーツを思わせ楽しい。間奏部分は、林光の演奏会で使われたものを山下和子が採譜した。

3人の女性作曲家による
 スプーン一杯の
 ワタヌナ
 Air
(2016)
 シリア難民がヨーロッパに押し寄せていることが大きな社会問題になったが、シリアでは5年に渡る戦争で国民の半数以上がふるさとを追われ、難民、国内避難民となっている。
 一匹のミツバチが蜜を集める姿とテレビで見たシリア難民の姿を対照させ、遠く離れた日本で傍観者的にしていてよいのだろうかと問いかける「スプーン一杯の」、戦火の中に住むシリア人を含む世界中のシリアの平和を願う人たちと詩をつくり、国際社会に翻弄され、世界から見捨てられようとするシリアの人々の平和な故郷への渇望と誇りを歌う「ワタヌナ」(アラビア語で私たちの故郷の意味)、そして、国境や言葉を越えて世界に平和を願う心を込めて、すべてヴォカリーズで歌う無伴奏合唱曲「Air」。
 3つの曲が響き合い、シリアに、世界に届くように心を込めて歌いたい。

Rise Up Again
 World Vision Korea Children's Choirの専属作曲者Hyunchul Leeが、韓国の青少年から東日本大震災で被災した同世代の若者たちに贈る応援歌として作った曲を青年とともに歌う。