定期演奏会の紹介

第68回定期演奏会の紹介

 魂の叫び 自由・勇気・希望

 ご来場ありがとうございました。皆様のおかげをもちまして、NHKホールがほぼ満席になり、演奏会を無事終了することができました。
 演奏会のご意見・ご感想などありましたら、どしどしメールでお寄せ下さい。
なお、当日の本番の様子やリハーサルの様子アルバムに、曲の資料は資料集にアップしました。


演奏日時 2003年12日(土)午後6時30分開演  開場5時30分
演奏会場 NHK大阪ホール
指   揮 守屋博之/山本恵造
ピ ア ノ 門万沙子/土肥永津子/山下和子
パーカッション
アコーディオン
小川悟史(ゴスペル)/三上摂(レガーテ)
鈴木徳子(早春)
出   演 関西合唱団/ゴスペルを歌う合唱団/関西合唱団とともにうたう合唱団
レガーテ/
ヴォーカルアンサンブルAVANTI
特別出演 Hanna(文屋範奈)
スタッフ 和田みや子(司会)/森昭夫(舞台監督)/Hanna(ゴスペル・リズム指導)
入 場 料 S席 3,500円 A席 3,000円 B席 2,500円 (全席指定)
※小中学生、障害者はいずれの席も500円引きです。

演 奏 曲  1部        ステージT
遠くへ行きたい      (詩:永六輔 曲:中村八大 編曲:青島広志)
陽はまた昇る       (詩・曲:谷村新司 編曲:青島義久)
Goodbye Yesterday   (詩・曲:布袋寅泰 編曲:高橋直誠)

【関西合唱団/ゴスペルを歌う合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
メモリー(ミュージカル「キャッツ」より)
      (詩:Trevor Nunn after T.S.Eliot 曲:Andrew Lloyd-Webber
                        訳詩:浅利慶太 編曲:源田俊一郎)
花は美わし(オペラ「売られた花嫁」より)
        (曲:スメタナ 訳詩:青木爽・植村敏夫)

【AVANTI/門万沙子(ピアノ)】
       ステージU
混声合唱のための組曲「永遠のみどり」   (曲:外山雄三)
  1.ひとつの夏       (詩:下畠準三)
  2.はがゆい        (詩:正田篠枝)
  3.終末           (詩:栗原貞子)
  4.燈籠ながし       (詩:小園愛子)
  5.ヒロシマというとき   (詩:栗原貞子)
  6.永遠のみどり      (詩:原民喜)

【関西合唱団/関西合唱団とともにうたう合唱団/守屋博之(指揮)/
                                  門万沙子(ピアノ)】


       2部        ステージV
早春                   (詩:滝いく子 曲:高平つぐゆき)
父ちゃんは枯れ木のように死んだ (詩・曲:林学 編曲:外山雄三)
讃歌・この星に             (詩:今正秀 曲:木下そんき)

【関西合唱団/関西合唱団とともにうたう合唱団/ 山本恵造(指揮)/
               土肥永津子(ピアノ)/鈴木徳子(アコーディオン)】
想像力             (詩:中桐雅夫 曲:外山雄三)
ぶどうとかたばみ       (詩:谷川雁 曲・編曲:新実徳英)
みんな一緒に         (ボリビア民謡 訳詩:加藤登紀子)

【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)/三上摂(パーカッション)】
       ステージW
Swingin’ with the Saints    (TRADITIONAL 編曲:Mark Hayes)
Amen                (編曲:Jester Hairston)
If I got my ticket, can I ride? (編曲:Robert Shaw)
HALLELUJAH           (編曲:Mervyn Warren
                        Michaer Ojackson Mark Kibble)
Amen

みんなのうた           (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久)

【関西合唱団/ゴスペルを歌う合唱団/守屋博之(指揮)/ 門万沙子(ピアノ)/
                     小川悟史(パーカッション)/Hanna(特別出演)】

チラシ
(表)
チラシ
(裏)

ゴスペル それは自由と希望を求める魂のうた(チラシ裏より)
  今回の演奏会では、最近日本でも流行のゴスペルを演奏いたします。
 ゴスペル(GOSPEL)とは、福音書という意味で、GODSPELL(神のことば)が語源とも言われています。ゴスペルのルーツは、黒人霊歌です。アフリ力から北アメリ力に連れてこられた黒人奴隷たちが、白人教会から聞こえてくる賛美歌などと彼らの出身地の音楽とを合体させて作った独特の音楽、それが黒人霊歌です。シンコペーションのリズムと単純な5音音階などを音楽的特徴とし、過酷な現実からの逃避と来世への希望、魂の救済を求めて彼らは仲間たちとともに歌うことで生きる証を求めようとしました。これがゴスペルの始まりで今日のアメリ力音楽、ブルースやジャズなどのルーツともなりました。
 その後、さまざまな音楽と融合しながら、強烈なリズムをもった今日のゴスペルが一つの音楽ジャンルとして確立してきました。ゴスペルのもつ強烈なエネルギー、自由に心から解放して歌いかわす、そんなよろこびを多くの人と感じ合いたいと考えています。

           と  わ
混声合唱のための組曲「永遠のみどり」 作曲 外山雄三(チラシ裏より)
 

 日本原爆詩集より「ひとつの夏」(下畠準三)、「はがゆい」(正田篠枝)、「燈籠ながし」(小園愛子)、「永遠のみどり」(原民喜)の四つの詩および栗原貞子の詩集から「終末」、「ヒロシマというとき」の二つの詩を選び、外山雄三が作曲した合唱組曲である。(後に、オーケストラ伴奏版には、独唱のための「失ったものに」が付け加えられた。)関西合唱団が1981年5月に初演、広島での平和コンサートや日本のうたごえ祭典など全国で演奏され、その後のうたごえの音楽のあり方に大きな影響をあたえた。
 選び抜かれた密度の濃く鋭い詩と言葉を聞き手にまっすぐに届ける音楽は、私たち合唱団の大切な財産となっている。作曲者外山雄三氏は、「『ヒロシマというとき』について言えば、この詩の含んでいる内容、これほど的確にわかりやすく言ってくださっている詩を僕は他には知りません。『永遠のみどり』も含めて、次の世代に何を残すかということと絶対につながっていると僕は思うんです。」と語っている。(『季刊日本のうたごえ」第90号「力ンタータ『人類のあたらしい規則』外山雄三氏に聞く」より抜粋)
 非人道的な「力による支配」がこの世界を覆おうとしている現在、この曲の持つ意味を聞いていただきたいと思います。

ごあいさつ
(プログラムより)
 本日は、関西合唱団第68回定期演奏会にようこそおいでくださいました。
 あの忌まわしい戦争の教訓のもと、二度と戦争をしないと誓ったはずが今また、武力による支配が色濃くなる世界状況の中で戦争を行う国へと逆戻りしようとしています。
 そんな中だからこそ私たちは「うたごえは平和の力」を合言葉に平和のメッセージを、また、人々の暮らしを応援するうたごえを届けたいと思います。
 本日は、「魂の叫び 自由 勇気 希望」をテーマに抑圧からの解放、人間の尊厳を歌い上げたいと思います。
 これからもご指導、ご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。どうぞごゆっくりお聴き下さい。
【関西合唱団団長 吉岡勝】

メッセージ
(プログラムより)
1981年に初演していただいた「永遠のみどり」が、まだ演奏されなければならない世界であることは私たちの深い悲しみです。それだけに鋭く、確かで、豊かな表現で聴いてくださる方たちに、その内容がはっきり届くようにと祈ります。
【外山雄三】


 関西合唱団第68回定期演奏会が開催されますこと、おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。一口に68回というけれど、その歴史の中で大変な数の唄を愛する人達の情熱が交叉し、悲喜こもごもの人生模様が織り成されていることでしょう。数ヶ月前にご縁があり、合唱団のゴスペル講座に参加させていただき、メンバーの皆様の前向きな姿勢は感動に値するものであったと記憶しております。
 音楽はルールがあります。そのルールを日毎夜毎自分の身体に染み込ませるには努力以外のものはありません。ルールを入れたら又それを外すことも私達音楽をするものの努めだと思います。
 試行錯誤を続けて、時には未熟さに打ちひしがれることもあります。
 然しながら一番重要なこと…それは音楽を愛すること、音楽を楽しむことへの欲求度なのだと確信しています。
 今回の演奏会にはゴスペルが取り上げられていること。それは新しい挑戦の始まりです。合唱団の大きな飛躍を祈ってやみません。大らかな気持ちで唄って下さい。
【亀渕友香】


 音楽会の開催おめでとうございます。
関西合唱団が全国のうたごえの仲間に創造的・運動的示唆を与えているとすれば、常にうたごえが蓄積した財産を再創造し、今に生き生きと蘇らせることとあわせ、新しい創作や、音楽分野に大胆に挑戦してきていることでしょう。
 今回も、ゴスペルに挑戦し、さらに豊かな音楽を創り、私たちの期待に応えてくれることと思います。
 今、日本が「戦争する国」へとひた走り、平和を脅かす動きが強まる中で、「うたごえは平和の力」の活動が問われており、私たち音楽、文化運動の果たす役割はますます大きくなっています。
 この音楽会が、人々の生きる勇気を励まし、希望をあたえる音楽会として成功し、貴合唱団が一層人々の生活やたたかいに根ざし、平和で夢と希望にあふれるうたごえを力いっぱい響かせていくことを願い、メッセージといたします。
【日本のうたごえ全国協議会 会長 高橋正志】

プログラムノート
(プログラムより)
 ステージTは、日本のポピュラーの中から3曲。
 遠くへ行きたい(1962)は、永六輔が「旅先でだれに会うか、どんな言葉を聞くか」をイメージして作った詞に中村八大が作曲、ジェリー藤尾が歌い大ヒットした名曲を、束京混声合唱団が合唱編曲依頼したもの。つづいて、フジテレビ系同名ドラマのラストでフォーググループアリスのメンバーだった谷村新司が歌い、同年レコード大賞作詞賞を受賞した陽はまたのぼる(1979)、そして今井美樹が歌うフジテレビ系ドラマ「ブランド」の主題歌Goodbye Yesterday(2000)を一味ちがう合唱編曲で。

 ヴォーカルアンサンプルAVANTlは、合唱団のメンバーの中から結成された4人のグループ、独目の演奏活動にも精力的に取り組んでいる。
 ミュージカル「キャッツ」で主人公のグリザベラが歌う大ヒットナンバーメモリー(1981)。つづいて「モルダウ」で有名なチェコ国民学派スメタナの歌劇「売られた花嫁」より花は美わし(1866)。ボヘミアの農村に住む美しい村娘マジェンカと若者イェニークは、結婚を約束した恋人同士、結婚を切望する二人とそれを阻止しようとする周囲の人々をコミカルに描くオペラの序章で村人により軽快に歌われる合唱曲である。

 ステージUは、混声合唱のための組曲「永遠のみどり」(1981)。
 『日本原爆詩集』より「ひとつの夏」(下畠準三)、「はがゆい」(正田篠枝)、「燈籠ながし」(小園愛子)、「永遠のみどり」(原民喜)の四つの詩、栗原貞子の詩集から「終末」、「ヒロシマというとき」の二つの詩を選び、外山雄三が作曲した組曲である。(後に、オーケストラ伴奏版には、独唱のための「失ったものに」が付け加えられた。)
 関西合唱団が1981年5月第41回定期音楽会において初演(作曲者によるピアノ伴奏)、同年8月広島で開催された原爆犠牲者に捧げる音楽の夕べや多くの平和コンサート、日本のうたごえ祭典など全国で演奏され、また1982年第2回国連軍縮特別総会の際にはアメ∪力・ニューヨークでも演奏された。
 選び抜かれた密度の濃く鋭い詩と言葉を聞き手にまっすぐに届ける音楽の質、被害者の視点だけでなく加害者の視点を問いかける内容は、その後のうたごえ運動の音楽のあり方に大きな影響をあたえ、合唱団の大切な財産ともなっている。
 作曲者外山雄三氏は、「『ヒロシマというとき』について言えば、この詩の含んでいる内容、これほど的確にわかりやすく言ってくださっている詩を僕は他には知りません。『永遠のみどり』も含めて、次の世代に何を残すかということと絶対につながっていると僕は思うんです。」と語っている。(『季刊日本のうたごえ』1995年8月第90号「力ンタータ『人類のあたらしい規則』 外山雄三氏に聞く」より抜粋)
 人類が生み出した原子爆弾という残虐兵器による悲惨にもかかわらず、今もいっそう進化した大量破壊兵器が開発使用され、先の湾岸戦争やイラク戦争で無差別に投下された劣化ウラン弾による放射能汚染が憂慮されている。非人道的な「力による支配」がこの世界を覆おうとしている現在、この曲の持つ意味を考えつづけていきたい。
(「永遠のみどり」の歌詞については、本日の演奏会終了後にロビーにて配布いたします。)

 第2部のステジーVは、うたごえ運動の中で作られた新旧の3曲。
 早春(1979)は、電電公社(現在のNTT)に働く作曲者が職場での徹底した差別や「□をきかない」などの排除にあった体験をもとに電通労働者の思いを歌おうと創られた合唱組曲「自由なる朝へ」の終曲。引きさかれた仲間たちへの連帯の願いを壮大に歌っている。つづいて愛知県津島市の繊維工場に働く若い女性の詩をもとにつくられた父ちゃんは枯木のように死んだ(1968)。長野県の山奥の農村でわずかな土地を耕し生計をたてる家族のつらく苦しい生活の現実と、家計を助けるために都会に働きに出た彼女への共感といたわり、はげましが美しい旋律と編曲により形象化されている。3曲目は、奈良蟻の会合唱団創立50周年記念作品として創作され、今年の日本のうたごえ祭典in長野でも全国合同曲として演奏される讃歌・この星に(2002)。

 レガーテは、関西合唱団主婦班を母体にして1980年同名称に改め独自の活動を開始、全日本お母さんコーラス大会ひまわり賞を受賞するなど活躍している。
 想像力(1993)は、合唱組曲「忘れっぽい人に」(混声)の1曲で女声合唱編曲版。1975年ベトナム・サイゴンにおける戦争孤児輸送の米機墜落事故などをモチーフにしている。ぶどうとかたばみ(1993)は、曲が先に作られ後から詞をつけるというユニークな手法で十代のために作られた「白いうた青いうた」の中の1曲で後に作曲者自身が女声合唱に編曲したもの。旧ユーゴスラビア解体後のボスニアヘルツェゴビナにおけるセルビア系、クロアチア系、イスラム系3民族による凄惨な内戦の悲劇をテーマとしている。最後は、南米ボリビアの若者たちが歌い継ぎ、世界のフォルクローレシンガーがレパートリーとしているメッセージソングみんな一緒に

 ステージIVは、ゴスペル〜自由と希望を求める魂のうた。
 ゴスペル(GOSPEL)とは、福音書という意味で、GOD SPELL(神のことば)が語源とも言われている。ゴスペルのルーツは、アフリ力から北アメリ力に連れてこられた黒人奴隷たちが、白人教会から聞こえてくる賛美歌などと彼らの出身地の音楽を合体させて作った独特の音楽、黒人霊歌である。シンコペーションのリズムと単純な5音音階などを音楽的特徴とし、過酷な現実からの逃避と来世への希望、魂の救済を求めて彼らは仲間たちとともに歌うことで生きる証を求めようとした。これがゴスペルの始まりで、今日のアメリ力音楽、ブルースやジャズなどのルーツともなった。その後、さまざまな音楽と融合しながら、強烈なリズムをもった今日のゴスペルが一つの音楽ジャンルとして確立されてきた。
 1曲目のSwingin' With the Saintsは、有名な黒人霊歌Swing Low,Sweet Chariot(ゆるやかに揺れよ、いとしの戦車)とディキシーランドジャズで有名なWhen The Saints Go Marching in(聖者の行進)を組み合わせている。”ゆるやかに揺れよ、いとしの戦車 私をふるさとにつれていっておくれ もしもお前が先に向こうへ着いたなら 私をふるさとにつれていっておくれ”と預言者エリヤが神の差し向けた戦車に乗って天国に召されていくという旧約聖書の一節を取り出し、アメリ力北部や力ナダヘの逃亡による自由への憧れを歌っている。聖者の行進は、「死ぬことで初めて自由になれる」と考えた黒人奴隷の歌。ニューオーリンズのお葬式ではお墓に行くときはしめやかに、埋葬の時は物悲しく、埋葬が終わると「鳥のように自由に」なったという事で、聖者の行進を皮切りに、パレードは陽気に帰っていくという。つづいてのAmen(エイメンと発音される。意味は、"その通り、本当に”)は、イエスの生涯を、その誕生から復活までをダイジェスト的に歌い込んでいる。エイメンの部分は合唱で、それ以外はソロが受け持つコール・アンド・レスポンスのスタイルで呼応しながら歌う曲として人気がある。3曲目のIf I Got My Ticket,Can I Ride?は、“主よ、わたしに切符があれば乗れるでしょうか?その朝天国に行けるでしょうか?”とコール・アンド・レスポンスのスタイルで歌われ、「地下鉄道」と呼ばれた奴隷逃亡組織などの暗号として歌われたとも推測される。最後の曲HALLELUJAHは、ヘンデルの「メサイア」第2部第44曲の有名な合唱をゴスペルにアレンジしたもの。八レルヤとは、「ハラル」(ほめたたえるの意味)というヘプライ語と「ヤ(ハゥエ)」(主の意味)の合成語で、「主をほめたたえよ」という神を賛美する最上級の言葉である(小川洋司『深い河のかなたへ』音楽之友社を参考)