定期演奏会の紹介

第70回定期演奏会の紹介

 あの夏を忘れない

 ご来場ありがとうございました。皆様のおかげをもちまして、演奏会を無事終了することができました。
 演奏会のご意見・ご感想などありましたら、どしどしメールでお寄せ下さい。
なお、当日の本番の様子やリハーサルの様子アルバムにアップしました。


演奏日時 2005年10日(金)・11日(土)午後7時開演  開場は6時30分
演奏会場 いずみホール
指   揮 守屋博之/山本恵造
ピ ア ノ 門万沙子/土肥永津子/山下和子
伴   奏 岩城雄作(ケーナ)
出   演 関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/安広真理作品を歌う合唱団
レガーテ/
ヴォーカルアンサンブルAVANTI
スタッフ 森昭夫(舞台監督)/ステージング(文屋 淳)/甲斐美穂子(司会)
チ ケ ッ ト S席 3,500円 A席 3,000円(前売り座席指定) B席 2,500円 (当日座席指定)
※A席・B席については、高校生以下、障害者の方は500円引き。B券の当日座席券との引き換えは17:30より行います。

演 奏 曲  1部        ステージT
生きる               (詩:谷川俊太郎 曲:外山雄三)
信じる               (詩:谷川俊太郎 曲:松下耕)
壁きえた             (詩:谷川雁 曲:新実徳英)
死んだ男の残したものは   (詩:谷川俊太郎 曲:武満徹 編曲:林光)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵造(指揮)/
     土肥永津子(ピアノ)】
浜辺の歌             (詩:林古渓 曲:成田為三 編曲:林光)
ロマンチストの豚         (詩:やなせたかし 曲:木下牧子)

    【
ボーカルアンサンブルAVANTI/門万沙子(ピアノ)】
       ステージU
グラダナ              (詩・曲:Agustin Lara 訳詩:野坂けいこ 
                               合唱編曲:高平つぐゆき)
コンドルは飛んで行く      (訳詩:麻生ひろし 曲:D.A.ロブレス/
                          J.ミルヒバーク 編曲:和泉粧子)
マリア・エレナ           (詩・曲:Lorenzo Barcelata 訳詩:野坂けいこ 
                               合唱編曲:高平つぐゆき)
シェリト・リンド          (詩・編曲:寺島尚彦 合唱編曲:高平つぐゆき)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/守屋博之(指揮)/
     門万沙子(ピアノ)/岩城雄作(ケーナ)】

       2部 さとうきび畑           (詩・曲:寺島尚彦 編曲:御崎恵)
うた                (詩:佐藤信 曲:林光)

              【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)】

 
       ステージV
混声合唱とオーケストラのための交響曲「炎の歌」
                    (詩:土井大介 曲:外山雄三)より

   V.石
   W.花

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/守屋博之(指揮)/
     門万沙子(ピアノ)】
       ステージW
その手の中に         (詩:砂入りえ 曲:安広真理 
                   補作:全国創作合宿2002in長崎青年グループ)
ひとつのピース        (詩:瀬原徹郎 曲:安広真理)
ねがい             (詩:広島市立大洲中学校3年生有志
                           編詩:山ノ木竹志 曲:安広真理)

みんなのうた          (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/
     安広真理作品を歌う合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

チラシ
(表)
大きな画像(683KB)
チラシ
(裏)
大きな画像(475KB)

曲目解説
チラシ裏より
被爆60周年 あの夏の記憶を刻み、再びくり返さない意志をこめて
 混声合唱とオーケストラのための交響曲「炎の歌」
 原爆投下から25年たった1970年、大阪労音(現大阪新音)20周年記念作品として作られた曲です。全体は「安らかに」「T.鐘」「U.炎」「V.石」「W.花」から成っています。「安らかに」は広島・平和記念公園内の原爆死没者慰霊碑の碑文「安らかに眠って下さい過ちは繰返しませぬから」に曲をつけたものです。唯一の被爆国民として、世界に向ってこうした悲劇を三度とくり返さないように被爆者の生き様をとおして訴えています。今回はピアノ伴奏により演奏します。

めぐりくる夏ごと
夏の日よ 焼きつけよ
あの陰影を 石にふかく

八月の石を背負って生きてきた人びとよ
石に語らせよ くりかえしくりかえし
かっての日の あの夏の人間のしわざを
(V.石より)

あなたの死を
寿命などといわせてはいけないから
わたしは花をあつめる。
あなたのおだやかな死に顔を
不運な人生などとよばせてはいけないから
わたしは花をささげる。
あなたの嘆きを
生きているものの涙にしのばせ
あなたのやさしい怒りを
生き残ったものの息づかいにこめておきたいから
わたしは花をつみあげる.
(W.花よリ〕

交響曲「炎の歌」上演賛同団体:原水爆禁止大阪府協議会

曲目解説
チラシ裏より
−安広真理作曲のうたを青年とともに−
 「その手の中に」は、みずみずしくさわやかな平和のうたとして青年を中心に歌われています。
 また、「ねがい」は広島の中学生が卒業前に作った平和宣言をもとに曲をつけたものです。そして今回の定期演奏会のために書き下ろした新曲などを青年と一緒に歌います。

生まれたばかりの 命をだきあげる
その手の中に 愛はある
同じ空を見上げ 人は 今日も明日も
生きてゆくのに 憎しみあい きずつけあい命さえもひきかえに
なにを手に入れるというのだろうか
戦争はいらない その手の中に
(「その手の中に」より)

ごあいさつ
(プログラムより)
 本日は、関西合唱団第70回定期演奏会にようこそおいでくださいました。
 自衛隊の海外派兵が行われ、改憲の動きが強まる中で迎えた戦後60年。そして、今年は広島・長崎に原子爆弾が投下されて被爆60年の年でもあります。
 核兵器のない世界をめざす空前の波が世界で起こっている今、あの戦争、とりわけ被爆の記憶を胸に刻んでいくことの大切さを歌に込めていきたいと思います。今回は、被爆者の生き様を通じて核兵器の惨禍を二度と繰返さないと歌う交響曲「炎の歌」を30年ぶりに再演いたします。
 これからも私たちは「うたごえは平和の力」を合言葉に平和のメッセージを、また人々の暮らしを応援するうたごえを届けたいと思います。
 これからもご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。どうぞごゆっくりお聴きください。
【関西合唱団 団長 吉岡勝】

メッセージ
(プログラムより)
 9.11以降、たがが外れたように戦争の道になだれこもうとしている今、それを押し戻すための大きな平和の力が必要だと思います。
 うたごえを響かせることで、私達の平和への想いをいっぱいにふくらませ、エネルギーにしていけたらと思います。
【安広真理】

 「忘却は原爆の肯定につながります」と被爆者はいいました。被爆の記憶を胸に刻む「炎の歌」演奏の成功に期待します。今年は被爆60年。核兵器廃絶の世界の世論は、5年前核保有国に「核兵器廃絶の明確な約束」をさせました。今、国連で核不拡散条約再検討会議が開催されていますが、大阪から60人が「明確な約束」を一歩踏み出すよう要請してきたところです。その結果を受け今年の原水爆禁止世界大会は、核兵器廃絶の展望と運動の方向を打ち出す重要な大会となります。『いま、核兵器の廃絶を』署名を広げ、多くの代表の派遣を期待します。
2005年5月【原水爆禁止大阪府協議会 理事長 篠浦一朗】

 70回を迎えた定期演奏会の開催おめでとうございます。
 時代を見据え、うたごえの財産を再創造し、今に生かし、いつも新しい創造に果敢に挑戦し、うたごえの未来を切り開こうとエネルギッシュに活動する貴合唱団の演奏会の開催を心からお祝い申し上げます。
 被爆・戦後60年の今年、いまだ、被爆者健康手帳を持った27万人余のうち原爆症認定者が1%に満たない2,271人(2003年度末)で、その集団訴訟は全国で171人が争っています。国は被爆者が死に絶えるのを待っていると言っても過言ではありません。
 演奏される交響曲「炎の歌」をはじめとする平和のうたが、地域や職場のすみずみにうたい広けられ、8月の原水爆禁止世界大会広島・長崎、そして11月被爆地広島で開催する「2005年日本のうたごえ祭典inひろしま」
に向け、大きなピースウェーブになることを願い、メッセージといたします。
【日本のうたごえ全国協議会会長 高橋正志】

プログラムノート
(プログラムより)
ステージT
 生きる(1986) 関西合唱団が第50回記念定期音楽会にて委嘱初演した6人の作曲家による「合唱組曲」(外山雄三、林光、池辺晋一郎、林学、中村茂隆、木下そんき曲)の中の1曲。自然や社会と交感しながら人間が生きる意味を問いかける谷川俊太郎の詩が生き生きと歌われる。
 信じる(2004) 2004年度NHK全国音楽コンクール中学校の部課題曲。作曲者は「今、あなたは、隣人を信じていますか。たとえ裏切られても、その人を信じ続ける勇気がありますか。その勇気からこそ、平和が生まれるのだ−そんな言葉を投げかけられているような気が、私にはする。」と語っている。(『季刊合唱表現9号』)
 壁きえた(1991) 曲が先に作られ後から詞をつけるというユニークな手法で十代のために作られた「白いうた青いうた」の中の1曲で後に混声合唱に編曲したもの。ベルリンの壁が崩壊した直後に作られ、東西ドイツの人々の歓びの心を歌っている。
 死んだ男の残したものは(1965) ベトナム戦争最中の1965年4月22日開催の「ベトナムの平和を願う市民の集会」に間に合わせるために谷川俊太郎が武満徹にこの詩を持ってきて頼み、その日の夜にできた曲。戦争のむなしさと悲しみを静かに歌った名曲を林光編曲で演奏する。

ヴォーカルアンサンブルAVANTI

 ヴォーカルアンサンブルAVANTIは、合唱団のメンバーの中から結成された4人のグループ、独自の演奏活動にも精力的に取り組んでいる。
 浜辺の歌(1916) 林古渓の詩は、東京音楽学校の雑誌『音楽』に掲載されたもので、幼い日に神奈川県辻堂東海岸付近の浜辺を歩いたとぎの追憶を歌ったものとされている。
 ロマンチストの豚(1989) おとぎ話のような歌詞で、最後は天国に飛んでいってしまうが、ユーモラスな雰囲気のまま終わる。

ステージU
 グラナダ(Granada)(1932) メキシコの作曲家・歌手のララが、まだ見ぬ異郷の地グラナダヘの憧れを叙情的かつダイナミックに歌った名曲。グラナダはスペイン南部の肥沃な地で、イスラム教徒がコルドバ陥落後1492年まで首都として支配し栄えた都市であり、イスラム建築で有名なアルハンブラ宮殿がある。
 コンドルは飛んで行く(EL condor pasa)(1913) インカ王女をテーマとしたサルスエラ(一種の民族オペラ)のために書かれた曲で、スペイン軍の占領支配のもとで反乱を起こし処刑されたトゥパル・アマルが死後コンドルに生まれ変わりアンデスの空から見守っているという、民族の誇りと悲哀を歌っている。1970年にサイモンとガーファンクルがカバーし、世界的にヒットした。
 マリア・エレナ(Maria Elena)(1932) メキシコの第12代大統領ポルテス・ヒルの夫人マリア・エレナに捧げられた曲で、1963年にブラジル出身のロス・インディオス・タバハラスが歌って世界的にヒットしたワルツ調の力ンシオン。
 シェリト・リンド(Cierito Lindo) シェリトリンドとは「美しい空」の意昧、「アイアイアイ、歌いなさい、歌えば心も楽しくなる」というフレーズが繰り返し歌われる。メキシコの青い空の下、情熱的な恋を歌った有名な曲。

レガーテ

 関西合唱団主婦班を母体にし、1975年名称をレガーテとし女声合唱団として独自の活動を開始した。おかあさんコーラス全国大会でひまわり賞を受賞するなどうたごえ運動内外での活躍が注目されている。
 さとうきび畑(1967) 沖縄戦の悲惨な記憶と悲しみを風の音に託して歌われる。作曲者はその決意を次のように語っている。「確かに今の日本は平和です。何でわざわざ戦争のことを思い起こさせるのかという人もいると思いますが,自分たちは日本人だということを忘れてはいけません。沖縄で起きたことは日本で起きた出来事です。決して忘れてはいけないのです。」(『季刊沖縄」第23号)今回は、御崎恵による女声合唱版で演奏する。
 うた(1982) 1982年1月のポーランド緊急支援コンサートで初演された「2歌手、語り手、ピアニストのための『ワルシャワ労働歌のうた』」の中のソング。ポーランドにちなんだ3拍子のワルツ調で作られている。

ステージV
混声合唱とオーケストラのための交響曲「炎の歌」(1970)より V.石 W.花
 この組曲は、1970年大阪労音(現大阪新音)の委嘱により作られたもので、「安らかに」「T.鐘」「U.炎」「V.石」「W.花」より成っている。「安らかに」は、広島市平和記念公園内の原爆死没者慰霊碑の碑文「安らかに眠って下さい過ちは繰返しませぬから」に曲をつけたもので、この碑文が曲の随所に現れ展開する。
 今年被爆60周年に際し、30年ぶりに再演(ピアノ伴奏版で抜粋演奏)するにあたり、核兵器使用戦略がすすめられる今日、唯一の被爆国民の責任として、被爆者の生き様を通して世界に向かってこの悲劇を再び繰返さないように歌いたい。(歌詞は別刷りを参照ください。)

ステージW
 うたごえ運動のニューウェーブとして近年活躍している作曲家、安広真理の曲を青年と一緒に歌うステージ。
 その手の中に(2001) 日本のうたごえ祭典(福岡)の取り組みの中で生まれた曲。アフガニスタンに対する空爆のもとで、もうすぐ生まれてくる子どもを思ってこの詩は作られた。
 ひとつのピース(2005) 日本のうたごえ全国協議会「被爆60年・いのち輝け憲法九条『平和のうた』」公募入選詩の中から同名の詩(瀬原徹郎詩)に今回の演奏会のために作曲したもの。
「パズルのような国境線は見えるかい ほらごらん 線なんてないんだよ 乗り越えられないものはない わかりあえないことはない いつか 壁もフェンスもなくなる時代がやってくる ことばも色も思いも違っていても ひとつのピースになる日…」
 ねがい(2003) 2001年に広島市立大州中学校の3年生が広島合唱団との交流を通して、9.11同時テロの衝撃と悲しみから自分たちの平和宣言を発表し、これに映画「カンダハール」の監督マフマルバフのメッセージを加えて「ねがい」という曲が生まれ、翌年3月の卒業式で歌われた。この詩は「21世紀、ヒロシマで生まれたイマジン」として、現在27か国語に訳されている。