定期演奏会の紹介

第72回定期演奏会の紹介

 5月の音楽会

 ご来場ありがとうございました。皆様のおかげをもちまして、演奏会を無事終了することができました。
 演奏会のご意見・ご感想などありましたら、どしどしメールでお寄せ下さい。
なお、当日の本番の様子リハーサルの様子はアルバムに順次アップしました。

演奏日時 2007年20日(日)午後4時半開演 開場は4時
演奏会場 NHK大阪ホール
指   揮 守屋博之/山本恵造/西前寿実子
ピ ア ノ 門万沙子/石田瑞枝/山下和子/藤里香世/小形ひとみ
伴   奏 増井一友(ギター)/石山歩(ヴィブラホン)/西本宜司(ドラムス)/藤岡靖博(ベース)
出   演 関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/レガーテ/堺フロイデ合唱団/衛都連合唱団/サークル・ハートランド/
奈良蟻の会合唱団/
ヴォーカルアンサンブルAVANTI/ブレーメン合唱団/日本のうたごえ合唱団/関西合唱団OB
スタッフ 甲斐美穂子(司会)/森昭夫(舞台監督)
チ ケ ッ ト S席 3,500円、A席 3,000円、B席 2,500円(高校生以下、障害者の方は全席500円引きです。)

演 奏 曲  第1部 アゲイン                 (詩:大脇美子 曲:熊谷賢一)
ダニーボーイ              (アイルランド民謡 詩:F.E.Weatherly 編曲:B.Chikcott)
ステンカラージン(男声合唱)    (ロシア民謡 訳詞:余田準一 編曲:高平つぐゆき)
ソロモン・グランディ          (訳詞:谷川俊太郎 曲:青島広志)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/山本恵三(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)/
     西本宜司(ドラム)/藤岡靖博(ベース)】
生きる                   (詩:谷川俊太郎 曲:武義和)
世界のうたメドレーから        (編曲:金井信)
 ラ・ゴンドリーナ            (メキシコ民謡)
 チリビリビン              (詩:ティオケット 曲:ペスタロッツァ)

    【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)/三上摂(パーカッション)】
合唱組曲「空に小鳥がいなくなった日」  (詩:谷川俊太郎 曲:外山雄三)
 私が歌う理由
 空に小鳥がいなくなった日
 ひとりぼっちの裸の子ども
 ふるさとの星

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

       第2部 トーク 上田假奈代 宮川光代 安広真理

安心して受けられる医療・介護を願って
混声合唱のための
「いのちをつなぐ人たちのうた」(全曲初演)
                       (詩:上田假奈代 曲:安広真理 
                        制作:大阪民主医療機関連合会、関西合唱団)
 プロローグ
 第1章 おはよー!私は看護師
 第2章 看取りの現場
 第3章 自転車で今日も走るヘルパー
 第4章 現場の仲間たちのうた
 第5章 ディサービスのお楽しみの時間
 第6章 夫婦のぼちぼち
 第7章 いのちのために
 エピローグ
    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

 

       第3部        守屋博之 うたごえ55年、関西合唱団指揮者50年記念特別企画
司会  日下部吉彦

「戴冠ミサ」より              (曲:モーツァルト)
 Gloria
 Dona nobis pacem
    【堺フロイデ合唱団/守屋博之(指揮)/藤里香世(ピアノ)/
    独唱 老田裕子(ソプラノ)/八木寿子(アルト)/二塚直紀(テノール)/田中勉(バリトン)】
十二月の歌               (詩:S.マルシャーク 訳詞:湯浅芳子 曲:林光 編曲:青島広志)
すべての山にのぼれ         (詩:O.ハマーシュタイン二世 曲:R.ロジャース 編曲:次郎丸智希)

    【衛都連合唱団/サークル・ハートランド/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
うたいかわそう              (詩:今正秀 補作・曲:木下そんき)
ふるさとの風               (詩:KOTOMI 補作・曲:木下そんき)
    【奈良蟻の会合唱団/西前寿実子(指揮)/小形ひとみ(ピアノ)】
チャップリン「ライムライト」より    (曲:チャップリン 編曲:源田俊一郎)
トリッチトラッチポルカ          (曲:J.シュトラウス 編曲:田中信昭)

    【
ヴォーカルアンサンブルAVANTI/門万沙子(ピアノ)】
花の街                   (詩:江間章子 曲:団伊玖麿)
雨あがり                  (詩・曲:青山義久)

    【ブレーメン合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
小熊秀雄の詩による混声合唱とコンボのためのラプソディー「ゴールドラッシュ」
                       (曲:林光)

    【日本のうたごえ合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)/増井一友(ギター)/
     石山歩(ヴィブラホン)/西本宜司(ドラムス)/藤岡靖博(ベース)】
芦別の雪の中を             (詩:門倉さとし 曲:林学)
花をおくろう                (詩:森田ヤエ子 曲:荒木栄)

みんなのうた               (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久)

    【関西合唱団OB/うたごえ合唱団合同/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】

チラシ
(表)
大きな画像(569KB)
チラシ
(裏)
大きな画像(475KB)

曲目解説
チラシ裏より
守屋博之うたごえ55年、関西合唱団指揮者50年記念特別企画
 当団の常任指揮者である守屋博之は、1953年奈良蟻の会合唱団創立に参加、57年より関西合唱団常任指揮者として以後今日までうたごえ運動に携わり指導的役割を果たしてきました。また、外山雄三、林光、池辺晋一郎、青島広志、木下そんきなどの作曲による合唱組曲など30曲を越える初演の指揮を行ってきました。
 今回の演奏会では、創立に開わった奈良蟻の会合唱団を初め、現在指揮、指導に携わる堺フロイデ合唱団、ブレーメン合唱団、衛都連合唱団およびサークルハートランド、そして音楽監督を務める日本のうたごえ合唱団が祝賀演奏してくださいます。


混声合唱のための「いのちをつなぐ人たちのうた」(上田假奈代 詞 安広真理 曲)
 相次ぐ医療、介護などの社会保障制度改悪は、安心して受けられる医療を国民から遠ざけ、ますます社会的格差と貧困を広げています。また、看護師や医師の不足、医療現場の忙しすぎる実態、介護保険制度の矛盾は行き届いた看護・医療、介護をしたいという関係者の願いを踏みにじっています。
 いのちをいつくしみ守るために医療や介護にはたらく人たちの思いを取材し、はたらく人と利用者国民との、安心して生きていきたいという願いをつないでいけるように、この合唱組曲はつくられました。


仕事は今日も山積 つぎからつぎへとつづく 疲れ果てる白衣
ほんとうは 今すぐ駆けつけたい そばにいて寄り添いたい もううすこしもうすこし
ほんとうは 今すぐ駆けつけたい 話をきいてあげたい 時問よとまれ がんばれ私
(第1章「おはよー!わたしは看護師」より)

介護保険は矛盾の制度 制度のなかを汗して 走るわたしはヘルパー
人間の生活に線はひけない ひけない線のうえを 走るわたしはヘルパー
笑顔 声かけ みきわめ サンサン
笑顔 声かけ みきわめ サンサン
太陽のように あたためよう 暮らしを 日々をひなたの時間 自転車に乗って 走るよ走る
(第3章「自転車で今日も走るヘルパー」より)

夫婦ふたりで一人分
分けあって ふたりの生活
ヘルパーさんも 看護師さんも みんな 助けてくれる
いつ誰がどんな病気になるのか元気なときには考えもしない
病気が教えてくれた人生の大切さ
(第6章「夫婦のぼちぼち」より)

病気や怪我で暮らしが変わるとまどいはげまし支えていく 医療の現場
けれど このごろ 効率優先
すべての人に等しくある権利
健康に生きる 文化的な最低限度の生活けれど このごろ何かがおかしい
(中略)
このまま 黙っていないで 顔をあげよう
醤らしを守れない制度に 声をあげよういま このいのちのために
いま あしたのいのちのために
(第7章「いのちをつなぐ仕事」より)


ごあいさつ
(プログラムより)
 本日は関西合唱団第72回定期演奏会にご来場いただき誠にありがとうございます。
今回は、相次ぐ医療制度改悪の中、医療や介護で働き頑張っておられる方の思いに連帯し、安心して受けることのできる医療や介護を守るために国民みんなで手を結んでいこうと、大阪民主医療機関連合会と共同で制作した医療と介護をテ−マにした混声合唱のための「いのちをつなぐ人たちのうた」(作詞:上田假奈代/作曲:安広真理)を演奏いたします。
 また常任指揮者、守屋博之氏の関西合唱団指揮者生活50年を記念して守屋氏と縁の深い合唱団の多彩な演奏、そして関西合唱団OBも加わりフィナーレのうたごえ合同合唱でダイナミックな演奏をお楽しみ下さい。 
 今後とも「うたごえは平和の力」を合い言葉に人々の暮らしを応援するうたごえを届けたいという思いを込めて歌い続けていきたいと思います。これからも、ご指導、ご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。
 どうぞごゆっくりお聴き下さい。
【関西合唱団 団長 吉岡勝】

メッセージ
(プログラムより)
 新作初演、守屋博之うたごえ55年・関西合唱団指揮者50年記念特別企画として開催する5月の音楽会おめでとうございます。
 今回は、大阪民主医療機関連合会・関西合唱団制作による混声合唱のための「いのちをつなぐ人たちのうた」の全曲初演をはじめ、守屋氏が指揮する合唱団のお祝い演奏をを含め、その多彩な演目と演奏に大きな期待が高まっていること思います。 
 とりわけ、社会格差と貧困の広がりが大きな社会問題となる中で、医療・介護制度の改悪問題を真正面からとりあげ、「寄り添う医療・介護のこころ」をテーマに作品化した新作の初演が成功し、全国で演奏されることを願っています。
 守屋氏の55年の労をねぎらうとともに、貴合唱団の一層の発展をねがい、平和を、よりよい暮らしをと願う人たちとともに、憲法を生かし、人間を輝かせる“うたごえ”をつくり、力いっぱいひびかせていくことを願いメッセージといたします。
【日本のうたごえ全国協議会会長 高橋正志】


心からのスタンデイング オべーション

 私が守屋さんと出会ったのは、彼が大学1年生、私は浪人中だから、お付き合いはもう優に半世紀を超えることになる。
 私がうたごえの世界に飛び込んだ時、既に彼はピアノやアコを良くこなす学芸大歌う会のセンスのいい指導者だった。当時、私がやっていた数人の地域歌う会と合同して「奈良・蟻の会合唱団」が出来たのだが、一緒に活動したのははじめの1、2年だけで、とくに相談した訳でもないのに、どこかで出会ったりしながら、関鑑子、井上頼豊、外山雄三らすばらしい先生方のおかげで2人ともここまで来られたのだと思う。
 「働く人たちの新しい音の発見を!」など掲げて名実共にうたごえ運動を切り開き、築き上げてきたスケールの大きい関鑑子先生が亡くなって30余年、井上先生亡き後の10年。この間に守屋さんが果たして来た役割・仕事…例えば、彼が初演した作品の質と量…はどれほどの牽引力を運動にもたらしてきたかを考える時、今日の運動の骨格を支えてきた主力と言っても過言でない。
 共に鍛えられた「歌劇・沖縄」の取り組みの頃だったと記憶するが、私が私淑しているある同年代の専門家の大先生がある時ポツリともらした一言「彼ほどのニヒリストがいることで運動が信頼できるよ」これは私にとってとても胸に落ちる面白い言葉だった。
 はじめから大人の個性または顔を持った、いつも冷静で、こわおもてではなく自分の信念は貫く男、そんな彼がもうひと仕事、ふた仕事してくれることを私は願っている。
【木下そんき(作曲家)】


 守屋博之さんの指揮生活50年に心から敬意を表します。同じ年にも関わらず、私にとってはいつも大先輩で、あこがれの人。若いときはとてもクールで近寄りがたいと誤解していましたが、その音楽創り、指揮を通じて情熱的であたたかさを知りました。個人的にいえば私の作品も随分多く指揮してもらいましたが、いつも教えられることが多く、またつたない作品にも愛情をこめて取り組んでくれたことを感謝しています。また、「大須っ子」や「芦別の雪の中を」など守屋さんの力あってこそ今も演奏されていることを、感謝とともに誇りに思っています。
 今後とも健康に気をつけ、すばらしい音楽を創り続けて下さい。
【林 学(作曲家)】

歌詞全文
(プログラムより)
混声合唱のための「いのちをつなぐ人たちのうた」
 作詞 上田假奈代 作曲 安広真理 制作 大阪民主医療機関連合会、関西合唱団 
 
プロローグ

空に生まれてくる星よ
風に舟の帆なびくよ

波にきらめく星のように
生まれてくるいのちよ

このいのちが いのちを果たし
空にむかって帰るとき
また夜空に星が生まれる

そのあいだに わたしたちは
ことばを覚え うたをうたう
あなたにあえて ほんとうに よかった
ありがとう そのことばを 今日もうたおう


第1章  おはよー! わたしは看護師

おはよー! 今日も微笑む
おはよー! 笑顔がみたくて
おはよー! 今日も微笑む
おはよー! あなたに微笑む

幼い妹の病院通いに付き添った母のうつむく顔
みんなの笑顔が戻るように 看護師になろう こころに誓った

仕事は今日も山積 つぎからつぎへとつづく 疲れ果てる白衣
ほんとうは 今すぐ駆けつけたい そばにいて寄り添いたい
もうすこし もうすこし

いま笑顔が大切だとわかってるけど 忙しくて凍る笑顔
「ちょっと待っててくださいね」 何度も待たせる 辛さ胸痛む

仕事は今日も山積 つぎからつぎへとつづく 疲れ果てる白衣
ほんとうは 今すぐ駆けつけたい 話をきいてあげたい
時間よとまれ がんばれ わたし

おはよー! 今日も微笑む
おはよー! 笑顔がみたくて
おはよー! 今日も微笑む
おはよー! あなたに微笑む 


第2章  看取りの現場

わからない わからない 言葉をうしない
わからない わからない かなしみに声もでない

死に慣れることはなく
その人の最後の時は
どんな言葉も言い表せない

人生の幕が閉じるまで
耳を傾ける 耳を近づける 

わからない わからない 言葉をうしない 
わからない わからない 残された家族に 目を伏せる

人は生まれる おぎゃーと生まれたその日から
人は死にゆく 役割を果たし最後のその日まで

いのちが空にかえる日よ 人生が海に帰るよ
なみだの海にかえる日よ その日まで微笑みを その日まで微笑みを


第3章 自転車で今日も走るヘルパー

雨でも真夏でも今日も自転車 走るわたしはヘルパー
買い出し掃除お風呂ご飯の支度 走るわたしはヘルパー

車いすを押しながら 父を思い出す 
お酒に気をつけて からだにも心くばってね 

太陽のように あたためよう 暮らしを 日々を
ひなたの時間 自転車に乗って 走るよ 走る

空のみえる窓のそばへ ベッドを動かしてあげたいけど
介護の仕事は制度の枠のなか 
望んでも望まれても 動いてはいけない
なんのための制度だろう 

雨でも真夏でも今日も自転車 走るわたしはヘルパー
買い出し掃除お風呂ご飯の支度 走るわたしはヘルパー

名前でよびあう関係は 人生を教えてくれた
孤独をささえる毎日の いのちをつなぐ喜び

太陽のように あたためよう 暮らしを 日々を
ひなたの時間 自転車に乗って 走るよ 走る 走るよ 走る


第4章 現場の仲間たちのうた

朝 まだ明けきらない空の静かな空気
歯磨き 水の音 ぐるり洗濯機をまわして 

仕事に行くのが楽しみだから「おはようさん」
微笑む 仲間たち みんなの元気が力に

はじめから上手くできない 落ち込んでも大丈夫
先輩も 若い頃に 同じように悩んだって

落ち込んだら思い出して 最初の気持を
微笑む 仲間たち あきらめないうたを歌おう
微笑む 仲間たち あきらめないうたを歌おう


第5章 ディサービスのおたのしみの時間

A「こちらのおばあちゃん 100歳ですって」
B「いや あたしは 99や」
C「まあ 長生きですなあ あたしはそんな長生きできまへん」
A「え おばあさん おいくつですか?」
C「あたしか?95歳」

長生き自慢は元気な証拠
今日も好物の せんべいぱりぱり
あなたにあげよう これもあげよう
あら喉がつまった お茶どうぞ

ひとりでいるよりみんなといよう
今日も笑って 歌でもうたおう
ひとりでいるよりみんなといよう
今日も笑って 歌でもうたおう

長生きしてねと孫に言われて「ハイ」
孫の夢なら あたしの夢よ 
たったひとつだけ 戦争はイヤ
みんなで笑って 歌でもうたおう

ひとりでいるよりみんなといよう
今日も笑って 歌でもうたおう
ひとりでいるよりみんなといよう
今日も笑って 歌でもうたおう


第6章 夫婦のぼちぼち

夫婦ふたりで一人分
「こけんかなー」心配しながら
歩く練習 すこしづつ
杖つく人とすれちがう

あの人たちもがんばってるんやな
わたしたちもがんばりたいな
人は強く生きられないから
ゆっくり ぼちぼち ゆっくり ぼちぼち

夫婦ふたりで一人分
わけあって ふたりの生活 
ヘルパーさんも 看護師さんも 
みんな助けてくれる

いつ誰がどんな病気になるのか 
元気なときには考えもしない
病気が教えてくれた人生の大切さ

あの人たちもがんばってるんやな
わたしたちもがんばりたいな
人は強く生きられないから
ゆっくり ぼちぼち ゆっくり ぼちぼち


第7章 いのちのために

誰でも暮らしの営みを持ち
誰でも誰かと関わり生きている

病気や怪我で暮らしが変わるとまどい
はげまし支えていく 医療の現場

貧しくて病院に行けない人が増えている
その中で 失われていくいのち

医療が削られ 介護が削られ
いのちまで削れというのだろうか

このまま 黙っていないで 顔をあげよう
暮らしを守れない制度に 声をあげよう

いま このいのちのために 
いま あしたのいのちのために 
いま このいのちのために 


エピローグ

いつのまに歳をかさねて
くりかえす季節の思い出よ
ふりかえる道 何を残せるのだろう

誰もが孤独に思えてしまう
そんなとき 見上げてごらん
いま届けられる 星のひかりを

ここに生きることを うたおう
こどもの人たちに 伝えよう
ここに生きることを うたおう
わたしたちのうた 今を生きるうた 
今を生きるうた

メッセージ
(プログラムより)
 医療はすばらしい仕事です。1人の人間が病に取り組みそして死んでいく、それを援助する仕事。自分が勉強して身につけた知識や技術が人の役に立つ仕事。やりがいのある仕事です。私は医師になって30年以上が経ちました。医師になってよかったと心から思っています。数え切れない数の人を診療し、多くの人の死に立ち会いました。しかし時に本当に自分が適切な診断や治療やケアができているのか自信がなくなることがあります。死に直面した患者に接して語る言葉が見つからず、自分の力のなさを痛感することもあります。もっと自己研鑽する努力とそれができる余裕が必要だと思います。
 1人の人間が死んでいく。それはそばにいる人間にとっても大変なことです。先日も映画「東京タワー」を見て涙が止まりませんでした。そんな場面に日常的に同席するのが、医療の仕事です。でも日々の仕事では忙しすぎて、感情を押し殺した実務的なものになっていると気づくことがあります。
 患者さんやご家族を大切にした医療をしたいです。でもこのままここで働き続けると、自分がすりつぶされてしまう。そんなことが頭をかすめます。「もうできない」と仕事を辞める同僚がいます。医療従事者が自分を大切にすることと、患者さんを大切にすることが並び立つそんな医療システムが必要です。
 この合唱組曲が医療という仕事のすばらしさを輝かせ、人を大切にする医療制度をつくる力になると確信します。
【大阪民主医療機関連合会会長 池田信明】


生きるうた。歌いつぐうた。

 医療の現場に携わる方、ケアされている方に取材を行い合唱組曲をつくり、歌いつぎたい、と関西合唱団の山本さんが訪ねてくださった時には、合唱という運動なのだと思った。そしてこれまで公務員や高齢者などさまざま人に聞き取りを行い詩をつくり、展示や朗読という手法で発表してきたわたしにとって、それは挑戦したい仕事だった。民医連の宮川さんのコーディネィトによって看護師、ヘルパー、ケアマネージャー、利用者、医師、ケースワーカーなど15人の方にお話を伺う。ともかく現場の仕事は大変だ、ということがわかる。制度のしめつけが現場で働く人と患者・利用者にしわ寄せとなっている。加齢しない人はいないし、病気や怪我をしない人もいないだろう。それなのになぜか医療や福祉は隅に追いやられている。声の大きい人たちによって社会が動いているようにみえる。
 けれど、もう黙っていないで、顔をあげ声をあげたい。語り合いたい。ちいさな声に耳を澄まし、自分自身の気づきを大切にしたい。そんな思いを詩に託した。
 メロディにのる言葉は花びらをのせて舞う風のようにどこへでも行ける。くちずさむと、勇気が運ばれてくる。歌うとは、こころに風をいれることだと思う。職場でも帰り道でもお風呂のなかでも歌があると、呼吸が楽になる。呼吸。このうたに内包するテーマは呼吸であり、歌われることによって具現化する。
 詩の言葉を削る作業をまかせ、ご苦労をおかけした作曲家の安広さん。取材の調整、同行してくださった宮川さん、山本さん、おふたりの思いが詩のなかに息づいています。歌いづらいところが多かったと思うのですが、指揮者の先生をはじめ合唱団のみなさま、ありがとうございます。ますますのご活躍をお祈りしています。
【上田假奈代(詩人)】


 平然とした顔で傷口に塩を塗り込むような政治がどんどん行われていることに、不気味さと怒りを感じます。
 ひとりひとりの生命が尊重され、誰もが安心して暮らしていける社会にするために、私たちは力を合わせていかないといけない、その力の一部にこの曲がなれたら・・・、と思っています。
【安広真理】

プロフィール
(プログラムより)
守屋博之
 1953年、奈良蟻の会合唱団創立に木下そんきなどと参加。以後今日までうたごえ運動に携わる。57年より関西合唱団常任指揮者。70、71年の歌劇「沖縄」全国公演指揮者として外山雄三・山田一雄などとともに約30ステージの指揮。82年には国連軍縮特別総会を記念したニューヨークでの「永遠のみどり」演奏の指揮。以後、日本のうたごえ祭典でのオーケストラや全国合同合唱の指揮、全国講習会の講師、各地合唱団の客演指揮など多数。
 外山雄三、林光、池辺晋一郎、青島広志、木下そんきなどの作曲による合唱組曲の初演の指揮は30曲を越す。
グローバル・ピース・コンサート、音楽・九条の会など、大阪での音楽家の平和運動の出発と発展のためにも活動。
著書に「合唱へのいざない」(新日本出版社)、「みんなでうたおう」(本郷出版社、共著)などがある。
 現在、関西合唱団常任指揮者。日本のうたごえ合唱団音楽監督。堺フロイデ合唱団・ブレーメン合唱団・衛都連合唱団・サークルハートランドなどの指導。


第3部出演の合唱団紹介(出演順)

堺フロイデ合唱団
 1978年,泉州地域でベートーヴェン「第九交響曲」を歌う合唱団として誕生しました。以来30年間,オーケストラと共に歌う合唱団として活動を続けてきました。年齢や職業をこえて,堺を中心に大阪市や泉南地域から100名を超える多くの団員が参加しています。発足時より合唱指揮に守屋博之氏を迎え練習に励んできました。今までにベートーヴェン「第九交響曲」はもとより,モーツァルトやハイドン,シューベルトなどのミサ曲といった宗教曲に多数取り組むほか,外山雄三氏や武満徹氏,林光氏などの愛や平和をテーマにした作品も歌ってきました。昨年のグローバル・ピース・コンサートにも出演しました。今年9月9日(日)には,30年の記念としてモーツァルト「戴冠ミサ」,プーランク「スターバト・マーテル」の演奏会を開催します(指揮 阪哲朗 ザ・シンフォニーホール)。現在,合唱指揮 守屋博之,山本昌代,発声指導 中村佳世子,練習ピアノ 門万沙子,藤里香世,石田瑞枝各氏の指導のもと,堺と泉北,岸和田の3会場で練習をおこなっています。

衛都連合唱団
 私たちは1986年11月、衛都連(衛星都市職員労働組合連合会)の文化運動の一環として誕生しました。結成当初から、労働組合が財政面も含めて協力にバックアップする、全国的にも大変珍しい合唱団として注目されてきました。団員は衛星都市の市役所に働く職員中心に、事務職、保育士、看護士、保健士、教師など様々な職種や世代の顔ぶれが集まっています。うたごえ運動の中から生まれた曲中心に、平和の歌、労働歌、ポピュラ−ソングや内外の民謡、合唱曲、時にはクラッシックなど幅広く雑多(?)なレパ−トリ−を誇ります。これまで8回の演奏会をはじめとして、地域や職場に出向いてのミニコンサ−トやうたう会など通じて、うたごえの魅力やともに歌う喜びを広めてきました。昨年、開催した二十周年記念コンサ−トでは20名を超える特別団員とともに日本国憲法の心を歌った合唱組曲「そして一輪の花のほかは」を演奏し、大きな共感を得る事ができました。これからも、結成以来私たちのモット−である「働く仲間をうたごえで励ますことのできる合唱団」めざして、一層精進を重ねようと団員一同決意をあらたにしています。

サ−クルハ−トランド
 藤井寺の公立保育所で働く仲間が集まってできたサ−クルです。(現在は他市の仲間もいます)歌うことが楽しい…それが私たちの始まりでした。たくさんの歌に出会い、つたないながらも1年に1回の演奏会を目標に練習を重ねる中で言葉の重みやそれを伝えることの大切さを感じるようになりました。そして私たちが働く保育の現場を通じて感じる、楽しさ喜び、その陰での悲しみ、輝く希望を少しでもたくさんの人に届けたい!と自分たちの想いを自分たちの言葉で詩に託し、作曲を依頼して創作曲を作り始めて4年になります。6曲が出来、演奏会で披露してきましたが今年ハ−トランドは15周年の節目を迎えました。7月15日(日)羽曳野市のLICはびきのホ−ルMで14回目の演奏会を開きます。歌う仲間も近隣の市に声をかけ、輪が広がりつつあります。今年もダンスあり…の楽しい演奏会になりそうです。私たちのメッセ−ジが今年もみなさんのもとへと飛んでいくことを願っています。

奈良蟻の会合唱団
 現関西合唱団常任指揮者の守屋博之氏、作曲家の木下そんき氏らによって「うたごえ運動」を担う合唱団として1952年に創設された混声合唱団です。クラシックからポピュラーまで多種多様なジャンルの歌を歌うとともに、「うたごえは平和の力」「うたは闘いとともに」を合い言葉に、今日まで「平和」「人権」「環境」「民主主義」など社会的なテーマをもつ歌も数多く歌ってきました。メーデー、学校公演をはじめ、さまざまな集会や催しで精力的に演奏活動を行うとともにうたごえ喫茶やみんなでうたう会などの活動を通じて草の根からの音楽文化の普及に取り組んでいます。そのほか、県内の民謡の掘り起こしなどのフィールドワークや合唱組曲の創作にも取り組んできました。本年11月23日〜25日に開催される「日本のうたごえ祭典in奈良」にむけて中心的な役割を担い、全力で取り組んでいるところです。

ヴォーカルアンサンブル AVANTI
 関西合唱団のヴォイストレーナー、パートリーダーで結成されたヴォーカルカルテットです。一人一人が長年にわたり声楽の専門教育を受けています。大阪城ホールでデヴュー以来9年間の間で、毎年の関西合唱団定期演奏会への出演や小編成コンクール入賞をはじめ、コンサートや集会で演奏活動を旺盛に行い、好評を得ています。

ブレ−メン合唱団
 堺市南区、泉北ニュ−タウンに2003年誕生。堺フロイデでうたっている仲間が舞台に立てなくなった時どこかで歌える合唱団がほしい!!と守屋・門両先生に相談。昔懐かしい歌を中心に、いろんなものを歌っていく合唱団としてお引き受けくださいました。
 グリム童話「ブレ−メンの音楽隊」で活躍する動物たちの姿に自分たちを重ね、仲間と力を合わせて努力を継続し、家族や世間から存在を認めてもらえる合唱団を作り上げようと「泉北ブレ−メン合唱団」と命名。
 今年守屋先生の50年にわたる指揮者生活の会に私たちも積極的に参加させていただける事になり団員一同ビックリ!!そしてNHKホ−ルで歌えると聞き100名が結集!!守屋先生50年長い年月本当におめでとうございます 「あんた達の指揮をしているとなぁ−肩がこるよ!!もっと指揮を見て、指揮に遅れないで歌ってよナ!!」は団の練習のきまり文句になりました。人生60年以上生きて来た私たちがんこ者集団はなかなか人を受け入れられずに先生方を困らせてます。若い門先生は別として守屋先生、団員共々年齢を忘れ病気を吹き飛ばし家族に支えられ乍ら歌い続けたいと思います。

日本のうたごえ合唱団
 日本のうたごえ合唱団は、日本のうたごえ全国協議会での検討を経て、呼びかけに応えた自発的参加者により結成されている合唱団です。活動の期間は一年で、毎年更新されます。北は北海道から、南は九州(残念ながら沖縄は空白)まで、団員は全国から集まってます。新春の合宿練習ではじまる活動は、うたごえ運動の創造活動の前進を目指すと同時に、団員にとって実践的な学びの場となっています。この合宿を含めて、全団員が集まるのは、なかなか難しいこと。練習機会は多くありませんが、地区練習会の開催や各自の努力を積み重ねて、日本のうたごえ祭典(11月23〜25日/奈良)での演奏を目標に頑張ってます。歌うのは、うたごえ運動の中から生まれた曲のほか、外国曲やポピュラーなども、幅広く取り上げてます。目標である日本のうたごえ祭典での演奏のほか、近年では原水爆禁止世界大会の文化の夕べ(2005年/長崎)や北海道のうたごえ祭典(2006年)に出演するなど、さらに幅広い演奏活動を模索しています。2007年度の団員は、約175名。今年度は、ジャズや民謡など様々な彩りを放つ、林光作品に挑んでいます。大合唱ならではの表現力を、お楽しみ下さい。

日下部吉彦
 音楽評論家。ジャーナリスト。元朝日新聞解説委員長として、14年間、テレビ、ニュースキャスターを務めた。現在も、テレビ、FMラジオの音楽番組の解説者としても活躍。「レクチャー・コンサート」スタイルの創始者としても全国的に知られる。

PROGRAM NOTE
(プログラムより)
第1部
アゲイン(1984)同年初めて大阪にて開催された日本のうたごえ祭典(大阪城ホール)のテーマ曲公募入選曲。岸和田市の保育士である作詞者の暖かく力強い歌詞に「すばらしい明日のために」の作曲家熊谷賢一が曲をつけたもの。「アゲイン すてきなことば やり直せる明日がある」と仲間を励ます心が響いてくる曲。

ダニー・ボーイ
 北アイルランドのロンドンデリーに伝わる民謡「ロンドンデリー・エア」のメロディに法律家のフレデリック・エドワード・ウェザリ(1848−1929)が歌詞をつけ、後にハリーベラフォンテが歌い大ヒットした。出兵した息子を想う親の心情を切々と歌った名曲。

ステンカ・ラージン
 17世紀中頃、貴族や領主に抑圧されたコサックを率いて支配者とたたかったと云われているステンカ・ラージン(本名 スチェパン・チモフェエヴィチ・ラージン)のペルシャ遠征の一場面を歌ったもの。

ソロモン・グランディ(1977)イギリスの伝承童謡のマザーグースの中から青島広志が「パロディ」として書いた独唱用のソングを合唱曲に改めた「マザーグースの歌」の中の1曲。曜日と人の一生を結びつけて哀れな運命の男ソロモン・グランディの人生を歌った話をニューオリンズジャズのスタイルで描いている。

レガーテ
生きる、『世界の歌メドレー』より ラ・ゴロンドリーナ、チリビリビン(丸木舟の歌)。谷川俊太郎の有名な「生きる」の詩には多くの作曲家が曲をつけているが、今回はシンプルで詩の内容が胸に迫る武義和の作品を演奏。2曲目は、レガーテの2005年コンサートのために新しく編曲された『世界の歌メドレー』より2曲を、華麗なピアノと演出でお楽しみいただきたい。

合唱組曲「空に小鳥がいなくなった日」(1987−1990) 外山雄三氏が関西合唱団のために作曲した組曲の一つ。弱いもの、しいたがられたもの、孤独なものなどへの、かぎりなく優しい目と人間への深い信頼が、谷川俊太郎の詩と外山雄三の曲から私たちの胸に静かに伝わる。