定期演奏会の紹介

第71回定期演奏会の紹介

 語りつぐもの 手わたすもの

 ご来場ありがとうございました。皆様のおかげをもちまして、演奏会を無事終了することができました。
 演奏会のご意見・ご感想などありましたら、どしどしメールでお寄せ下さい。
なお、当日の本番の様子リハーサルの様子2日目のリハーサルと打ち上げの様子はアルバムに順次アップしました。


演奏日時 2006年29日(土)午後6時半開演 開場は6時
         30日(日)午後2時開演 開場は1時半
演奏会場 国際交流センター 大ホール
指   揮 守屋博之/山本恵造
ピ ア ノ 門万沙子/石田瑞枝/山下和子
伴   奏 奥野敏文(ドラム)
出   演 関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/関西合唱団とともに歌う青年
レガーテ/
ヴォーカルアンサンブルAVANTI
スタッフ 時田裕二(舞台監督)/甲斐美穂子(司会)
チ ケ ッ ト 全席 2,500円

演 奏 曲  1部 ステージT   松下耕編曲によるポピュラーソング
〜松下耕編曲による〜『さだまさし作品集』より、
 道化師のソネット       (詩・曲:さだまさし 編曲:松下耕)
 精霊流し            (詩・曲:さだまさし 編曲:松下耕)
 北の国から           (詩・曲:さだまさし 編曲:松下耕)

時代(男声合唱)        (詩・曲:中島みゆき 編曲:松下耕)
Jupiter              (曲:G.Holst 詩:吉元由美 編曲:松下耕)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/守屋博之(指揮)/門万沙子(ピアノ)】
クローエに             (詩:J.G.Jacobi 曲:W.A.Mozart
                        訳詩:なかにし礼 編曲:太田一郎)

バイカル湖のほとり       (詩:ダヴィドフ 曲:ロシア民謡 訳詩:中央合唱団・小野光子 
                        編曲:井上頼豊)

    【
ボーカルアンサンブルAVANTI/門万沙子(ピアノ)】
ステージU
4つのスロヴァキア民謡    (曲:バルトーク 訳詩:伊藤慎也)
混声合唱のための「歴落」   (詩・曲:外山雄三)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/守屋博之(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)】

       2部 明日に架ける橋          (詩・曲:ポール・サイモン 日本語詩:山ノ木竹志 編曲:金井信)
世界のうたメドレーから     (編曲:金井信)
 花まつり             (アルゼンチン民謡)
 ともしび              (ロシア民謡 訳詩:楽団カチューシャ)
 泉のほとり            (詩:アルイモフ 訳詩;楽団カチューシャ 曲:ノヴィコフ)

              【レガーテ/山本恵造(指揮)/山下和子(ピアノ)】
 
        ステージV 平和の誓いによせたアンソロジー
奪われし初恋            (曲:池辺晋一郎 原詩:森村誠一
                      編詩:池辺晋一郎・神戸市役所センター合唱団)
祈り                  (曲:林光 詩:宮澤賢治)
とむらいのあとは          (曲:外山雄三 詩:木島 始)
日本国憲法第九条         (曲:外山雄三 詩:日本国憲法より)
火に                  (曲:芥川也寸志 詩:坂本万里)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/守屋博之(指揮)/
     門万沙子(ピアノ)】
ステージW 青年といっしょに
NO MORE CRY           (曲:生熊 朗 詩:吉田安英 編曲:山下和子)
誰が・・・                (曲:安広真理 詩:谷川俊太郎)
IMAGINE                (詩・曲:J.Lennon 編曲:金井信)

    【関西合唱団/関西合唱団とともに歌う合唱団/ともに歌う青年/
      山本恵造(指揮)/石田瑞枝(ピアノ)/奥野敏文(ドラム)】

みんなのうた              (詩・曲:原田義雄 編曲:青山義久)

チラシ
(表)
大きな画像(628KB)
チラシ
(裏)
大きな画像(520KB)

曲目解説
チラシ裏より
平和の誓いによせたアンソロジー
 この国が起こした先の戦争を正当化する一部の声が高まっています。
 わたしたちは、あの戦争がどんなものだったのかを問い直し、
 世界の人に約束した“平和の誓い”を胸に刻み、語りつぎ、
 未来に手渡していきたいと思います。

帰ってほしかった あなたに
たとえ 不忠者と呼ばれても
あんなに美しい 桜の枝に包まれ
私の贈った 血染めの鉢巻きをしめて
あなたは 死んでしまったの・・・
(池辺晋一郎:混声合唱組曲「初恋物語」より 奪われし初恋)

どうか 憎むことのできない敵を
殺さないでいいように
早くこの世界がなりますように
(林光:祈り (宮澤賢治「烏の北斗七星」より))

たおれたひとのたましいが
うたえなかったもの ゆめみよう
銃よりひとをしびれさす
ひきがねひけなくなるうたのこと
(外山雄三:混声合唱のための「よびかけ」より とむらいのあとは)

青年と共に
青年といっしょに今年も"あたらしい平和のうた”を歌います。
テレビ番組「ごくせん」のテーマ曲「NOMORECRY」、安広真理さんが谷川俊太郎の詩に曲をつけた新曲「誰が…」、そしてJohnLennonの不朽の名曲「IMAGINE」をNEWアレンジで歌います。

Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today....
Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace....

ごあいさつ
(プログラムより)
 本日は、関西合唱団第71回定期演奏会にようこそお越しくださいました。
 今、日本国憲法第九条改悪の動きや社会的格差と貧困の広がり、社会保障の破壊、庶民大増税など国民に痛みを押しつける悪政がますます進もうとしています。
 そんな中だからこそ私たちは「うたごえは平和の力」を合言葉に、人びとの暮らしを応援するうたごえを届けたいと思っています。
 本日は、「語りつぐもの・手わたすもの」をテーマに、数々の曲に平和の願いを込めて歌いあげたいと思います。
 これからも、ご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。どうぞごゆっくりお聴きください。
【関西合唱団 団長 吉岡勝】

メッセージ
(プログラムより)
 時代と未来を見据え、ポピュラー、クラシック等多彩な表現で豊かな音楽創造をすすめる貴合唱団の演奏会は、関西はもちろん、全国でも注目を集めていることは周知のことと思います。今、憲法や教育基本法を変え、「戦争する国」づくりをすすめようという声が高まっている中で、今回の“平和の誓いによせたアンソロジー”のテーマで開く演奏会への期待は高まっていることと思います。
 この演奏会の成功と貴合唱団が、大阪のすみずみに“わが町わが暮らしの中に”平和のうたごえをさらに広げる先頭に立って活躍し前進されることを心から期待します。
【日本のうたごえ全国協議会会長 高橋正志】

プログラムノート
(プログラムより)
ステージT
 合唱作品を多数つくっている人気作曲家松下耕のポピュラー編曲を集めたステージ。
 道化師のソネット(1980)さだまさし主演の映画『翔べイカロスの翼』の主題歌。映画は、サーカスのなかへ飛び込み、ピエロをサーカスの主役として定着させた一人の青年、キグレサーカスのクリちゃんこと栗田徹さんが、興業中に不幸にも転落死を遂げたが、自らの夢を追い続けた姿を描いた物語である。
 精霊流し(1974)グレープが歌ったさだまさしのヒット曲で、早すぎる死を迎えたさだの従兄弟のためにつくられたという。精霊流しは、長崎県の旧盆の伝統行事で、最近の一年間に亡くなった人の御霊を船に乗せて西方浄土に送るものである。
 北の国から(1981)1981年にスタートした北海道の雄大な大自然の中で成長していく家族の姿を中心に描く同名の人気連続テレビドラマの主題歌。
 時代(1975)「第10回ポピュラーソング・コンテスト」「第6回 世界歌謡祭」でグランプリを獲得した、J-POPのスタンダートとなった中島みゆきの名曲。
 Jupiter(2003)イギリスの作曲家であるグスタヴ・ホルスト(Gustav Holst 1874-1934)の管弦楽組曲「惑星」の第4曲「木星−快楽の神」の中間部のメロディに歌詞をつけて平原綾香が歌いヒットした曲を編曲し、第72回NHK全国学校音楽コンクール・スペシャルステージで演奏されたもの。

ヴォーカルアンサンブルAVANTI
 合唱団のメンバーの中から結成された4人のグループで、独自の演奏活動にも取り組んでいる。
 クローエに(1787)激しい恋情を歌った、モーツァルトの歌曲。その大意は“お前の青い大きな眼をのぞくと、私の心はときめき、燃える。私はお前の頬に口づけし、ふるえながらお前を腕のなかに抱きしめる。…”
 バイカル湖のほとり ソビエト映画『シベリア物語』の主題歌として戦後日本に紹介され大きな反響を呼んだロシア民謡。以後愛唱歌として広く親しまれ歌われている。

ステージU
 四つのスロヴァキア民謡(1917)ハンガリー現代音楽を代表する作曲家、べーラ・バルトーク(Bela Bartok 1881-1945)は、ハンガリー、ルーマニア、スロヴァキア等の民謡採集の旅を行い、採集した民謡の旋律を使った作品を多く書いている。四つのスロヴァキア民謡は、バルトークの作品としては唯一の混声合唱とピアノによるもので、旧ハンガリー王国内の周辺地域であるスロヴァキア系住民の民謡を素材にして作られた。1.ポニキーの結婚の歌、2.乾し草刈り入れの歌、3.メジブロートの踊りの歌、4.ポニキーの踊りの歌からなる。
 混声合唱のための「歴落」(1963)指揮者岩城宏之と東京混声合唱団のために外山雄三が作曲。歴落とは、群を抜いているさま、等しくないさま、入りまじり並ぶさま、声や音の絶えないさまを意味する。特に意味を持たない民謡風のうたや掛け声、擬音が渾然と使われ、日本の原風景が目に浮かぶかのようである。

レガーテ
 関西合唱団主婦班を母体にし、1975年名称をレガーテとし女声合唱団として独自の活動を開始した。おかあさんコーラス全国大会でひまわり賞を受賞するなどうたごえ運動内外での活躍が注目されている。
 明日にかける橋(1970)サイモン&ガーファンクルの最高傑作として歌い継がれている曲。Like a bridge over troubled water ,I will lay me down(逆巻く水に架かる橋のように身を投げかけてあげよう)と歌う原詩から、いのちを生み育てる母性から発せられた優しさと強さを持ったことばで、私たちが身を投げかけ平和への架け橋となろうとうたう山の木竹志の日本語詞(レガーテ委嘱)が完成した。
 世界のうたメドレー かつてレガーテが歌ってきた世界の歌を、30周年コンサート(2006)のために金井信に編曲を依頼したメドレー。その後、様々な公演で歌ってきたもので、今回はその中から3曲を演奏する。華麗なピアノもお楽しみいただきたい。

ステージV
 先の戦争がどんなものであったのかを問い直し、世界の人に約束した“平和の誓い”を胸に刻み、語りつぎ、未来に手渡していきたいと“平和の誓いによせたアンソロジー”と題し、次の5曲から構成した。
 奪われし初恋(1986)混声合唱組曲「初恋物語」の第4曲。特攻隊員を愛した女性の切々たる思いを綴った手紙形式の文言が現下の情勢にも響き胸に迫ってくる。
 祈り(1996)宮沢賢治の童話『烏の北斗七星』の一節に曲がつけられたもの。烏の戦闘艦隊の大尉が許婚の烏をおいて敵の山烏とたたかった後、マジェル様とよぶ北斗七星を仰いで涙を流しながら“ああ、マジェル様、どうか憎むことのできない敵を、殺さないでいいように 早くこの世界がなりますように…”と祈る印象的な場面である。
 とむらいのあとは(1981)混声合唱のための「よびかけ」の中の曲。詩人で英文学者だった木島始の詩につけた叙情的な旋律が無伴奏で歌われる。“たおれたひとのたましいが わたせなかったもの かぞえよう 銃よりひとをしびれさす 引き金ひけなくなるうたのこと”戦場にたおれたものへの鎮魂と祈りが胸に染み入る曲である。
 日本国憲法第9条(1983)混声合唱のための組曲「そして一輪の花のほかは…−あたらしい憲法のはなし−」の中の曲で、第9条の条文に曲をつけたもの。当団の初演以来全国各地で歌い広げられている。
 火に(1956)東京の砂川町(現立川市)にある在日米軍立川基地拡張に反対し、砂川町民と平和勢力の団結で勝利した砂川闘争をテーマにして、芥川也寸志に作曲を依頼しつくられた組曲「砂川」の終曲。現在、沖縄や岩国を始めとした米軍基地強化反対のたたかいに連帯するとともに、“燎原の火のように”広がる憲法九条をまもる運動への希望を込めて歌いたい。

ステージW
 青年と一緒に歌うステージ。
 NO MORE CRY(2005)沖縄出身の男性デュオD−51が歌ってヒットしたTVドラマ「ごくせん」の主題歌。さわやかでなじみやすいメロディと元気になる歌詞が魅力である。
 誰が…(2006)谷川俊太郎の詩集『落首九十九』(朝日新聞社 1964年)の中の詩に安広真理が作曲。“誰が殺すのか 無名の兵士を 目に見えもしない 国境の上で/誰が作るのか 冷たく生臭い銃を 子どもを愛撫する その手で/誰が決めるのか 正と不正とを もっともらしい美文調で みんなその誰かを探している 自分以外の 誰かを…”第3連は、私たちすべてににするどく問いかけてくるのではないだろうか。
 IMAGINE(1971)ジョン・レノンの代表的名曲である。1991年湾岸戦争時にはイギリスで、2001年アメリカ同時多発テロと引き続くアフガニスタンへの報復戦争時にはアメリカで放送自粛対象となったことに見られるように、反戦平和の象徴として世界中で愛されている。「想像してごらん」と呼びかける歌詞についてジョンは、オノ・ヨーコの詩集「グレープフルーツ」から引用したと語っている。